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藤原監督「復路の結果次第で自分のその先も考えないと…」“優勝候補の一角”中央大が往路でまさかの大失速のワケ「棄権しようという話も出た」
posted2024/01/03 06:09
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph by
Yuki Suenaga
歴代最多の優勝14回を誇り、唯一の6連覇達成校である中央大学。
100回目の節目の大会は、想定外のアクシデントでまさかの大失速となった。“最強・駒大”の対抗馬筆頭に挙げられていた有力校は、優勝争いに絡むはずが往路13位に沈んだ。
冬の雨はランナーにとってこたえる。往路ゴール地点の芦ノ湖。鈍色の空から時折、落ちてくる雨粒が彼らの無念さを表しているようでもあった。5人による襷リレー後、応援団の激励を受けながらも、険しい表情を崩さない。
重苦しい雰囲気に包まれるなか、藤原正和監督がマイクを握った。
「今日はちょっと苦しい走りになりまして、ご期待に沿えなかったんですけれども、明日、最低限、シードを獲らないといけませんので、そこに向かって復路のメンバーがしっかりやってくれると思います。今日、走ったメンバーは苦しい中でもしっかり襷を繫いでくれましたので、ぜひ、温かいお言葉掛けをしていただければ幸いに存じます」
1区から早々に現れた“異変”
レースでの異変は1区から早くも現れていた。
スタート直後から駿河台大のスティーブン・レマイヤン(1年)が勢いよく飛び出すと、中央大の2年生・溜池一太が追った。その後は自重しながらも集団の先頭を走るなど、積極的だったが、10km過ぎに遅れ始める。そのまま立て直せず、1時間2分51秒の区間19位。トップの駒大から1分49秒差がつき、早くもV争いから出遅れた。
その力量で流れを引き寄せるのがエースの役割だとすれば、4年生で大黒柱の吉居大和も精彩を欠いた。序盤こそ快調で、一度は鶴見中継所を2秒後に出発した中央学大の吉田礼志(3年)を引き離したが、そのまま突き放せず、並走するような形になった。
13km手前からの難所、権太坂を過ぎてもペースは上がらず、順位を2つ上げただけ。吉田にも先行を許し、1時間8分4秒の区間15位。起爆剤となれず、悪いムードを断てなかった。