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藤原監督「復路の結果次第で自分のその先も考えないと…」“優勝候補の一角”中央大が往路でまさかの大失速のワケ「棄権しようという話も出た」
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byYuki Suenaga
posted2024/01/03 06:09
前回大会で“花の2区”区間賞だった吉居大和が15位に沈むなど、中大の歯車は最後までかみ合わなかった
「だいたいの選手が1日~2日、39度くらいの熱が出て、その後も咳がずっと続いていて。それがひどかったですね。のどが痛いと言い出したのが4日~5日続いて、そこから熱が上がったり、いろんな症状がありました」
長距離走は身ひとつで勝負するスポーツである。もちろん走る技術も必要だが、体調が万全でなければ、20kmを超える長丁場をごまかすことはほぼ不可能である。しかも発熱は、これまで練習で仕上げてきた、レースを走るための筋肉のほどよい張りを奪ってしまう。
ましてや本番が間近に迫ったタイミングでの高熱は、筋肉が緩みきってしまい、これまでの鍛錬が台無しになる“致命傷”である。ランナーの大敵である風邪の蔓延が中央大から力を奪った。
42歳の青年指揮官にとっても試練だった。現役時代は中央大のエースとして活躍し、マラソンランナーとしても2度、世界選手権を走った。経験豊富な指導者は、レース本番にピークを合わせるコンディショニングの重要性を誰よりも痛感しているひとりである。16年に母校の監督就任後、こまかく体調管理についても指導してきた。
「20日ころまでは手ごたえを感じていた」が…
「やれることは全部やっていました……。20日あたりまでは非常に手ごたえを感じていたんです。あそこから一気に崩れてしまったのが情けない。もうこれは完全に監督としてのミス。本当に辛い思いをさせてしまった。僕の手腕がないから、こんなことになっている」
うがいや手洗い、ビタミンBやビタミンDの栄養摂取、授業時のマスク着用……最善を尽くしても、落とし穴があった。