箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
藤原監督「復路の結果次第で自分のその先も考えないと…」“優勝候補の一角”中央大が往路でまさかの大失速のワケ「棄権しようという話も出た」
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byYuki Suenaga
posted2024/01/03 06:09
前回大会で“花の2区”区間賞だった吉居大和が15位に沈むなど、中大の歯車は最後までかみ合わなかった
「本当にエース区間の役割を果たせなくて、他の区間の人に申し訳ないです。15km過ぎから、さらにペースアップしないといけないところで、逆にペースを落としてしまった」
3区の中野翔大(4年)も尾を引くように、リズムを作れず、区間20位に沈んだ。チームの主力が軒並み、期待通りの走りを見せられず、その失速ぶりが浮き彫りになった。
1年前の再現はならなかった。
「溜池→吉居大→中野」の継走は、チームを総合2位に押し上げた昨年と同じ並びだ。溜池が区間4位と好走し、2区の吉居大が勢いを加速させる区間賞。そして、3区の中野も連続区間賞で一気に波に乗った。
今年は10月の出雲駅伝こそ7位だったが、11月の全日本大学駅伝は4位。2位の青山学院大と15秒差で、駒澤大の対抗に挙がっていた。だが、奈落の底に落とされる急転ぶり。1996年以来の優勝はまたもはるか遠くに霞んでいった。
なぜ「昨年と同じ区間配置」で失速が起きたのか
中央大にとって、陸上長距離というスポーツの厳しさを突きつけられる一日になった。藤原は不振の理由を明かした。
「風邪が思い切り(チームに)広がって、選手全員が風邪になって、熱を出したり、咳が出たりしました。中野も咳が続いていた。大和も何日か熱が出ていて、手の打ちようがなかった」
チームが暗転したのは千葉・富津での合宿から帰ってきた12月23日の夜である。風邪の症状を訴える選手が現れ、27日には5人がダウンした。エントリーメンバー16人のうち、14人が発熱する異常事態に陥ってしまった。藤原は苦しい内情を明かす。
「27、28日のあたりでは、『もう出るのも厳しいんじゃないか、棄権しようか』という話をしたくらいだったんです」
新型コロナウイルスやインフルエンザの感染ではなく、選手たちの箱根駅伝への強い思いもあって出場を強行した。だが、ベストコンディションとは程遠かった。