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落合博満が語った《2010年優勝》“オレ流”ドラゴンズと岡田阪神の意外な共通点…“5年連続失策数ワースト”だったタイガースが甦ったワケ
posted2023/11/04 11:00
text by
掛布雅之Masayuki Kakefu
photograph by
Hideki Sugiyama
日本シリーズ真っ最中の現在だが、今季、阪神タイガースは18年ぶり6回目のセ・リーグ優勝を果たした。なぜ長らく優勝から遠ざかっていた「ダメ虎」は復活することができたのか。同球団のOBで野球解説者の掛布雅之さんは岡田彰布監督がかつての名将と同様の「ある要素」を重視しているのでは……と言う。その解説を掛布さんの『常勝タイガースへの道 阪神の伝統と未来』(PHP新書)から一部転載して紹介する。〈全3回の#1/#2、#3へ〉
岡田監督が目指す野球は一期目と同じく「守り勝つ野球」だ。
2023年シーズンを戦う上で、私はシーズン前にセンターラインを強化すること─―特にセカンドとショートの二遊間をいかに固定できるか─―が勝負の鍵を握っていると考えていた。
私がそのように考えるきっかけになったのが、2010年の中日ドラゴンズの優勝だ。
優勝の翌年、私は中日のキャンプ地を訪れていた。そのときに、当時中日の監督をしていた落合博満さんに、「中日と阪神の差(2010年に中日は優勝し、阪神は2位だったため)はどこにあったんですか?」と率直に尋ねてみたことがある。
優勝した中日と敗れた阪神の差は…?
当時の中日は、それほど打てる打線ではなかったにもかかわらず優勝したため、なぜ優勝できたのか、その疑問が頭をもたげていたのである。
そのときに落合監督は一言、「二遊間の守りの差じゃないのか」と教えてくれた。
当時の中日は、セカンドに荒木雅博、ショートに井端弘和というプロ野球界を代表する二遊間を擁していた。野球ファンが「最強の二遊間コンビ」と聞いて真っ先に思い浮かべるのも、この2人「アライバコンビ」かもしれない。2人は落合さんが中日の監督に就任した2004年から09年まで6シーズン連続でゴールデン・グラブ賞を受賞していただけでなく、04年から3年間連続でベストナインも受賞している。