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「四球の年俸査定ポイントを上げてくれ」阪神・岡田彰布監督は開幕前にフロントに直談判…急増四球が“あの球界のエース”の撃破を生んだ
posted2023/11/04 11:01
text by
掛布雅之Masayuki Kakefu
photograph by
Nanae Suzuki
岡田監督は、2004年から08年までの第1次監督時代から、「四球はヒット1本と同じ」と言い続け、ボール球を見極めることの大切さを訴えてきた。
なぜ、岡田監督はそれほどまでに四球を選ぶことに重きをおくのか。たとえば、チームの得点力が弱い、各打者の調子がそれほどよくないといった状況の中では、ヒットを狙ってもなかなか出ないものだ。そんな中で四球を選んで出塁することは、打線がつながることを意味する。打線がつながれば、四球を足がかりにして得点を奪うこともできる。
その象徴となるゲームが、2023年6月4日に甲子園球場で行われたロッテとの交流戦での「佐々木朗希攻略」だ。
その日の阪神打線は、5回まで無安打無得点、9奪三振と佐々木朗希の快投を前に苦しめられたが、6回にまわってきたわずかな隙を見逃さなかった。
佐々木攻略の突破口に岡田監督が出していた「指示」
先頭の中野が四球を選んで出塁すると、次のシェルドン・ノイジーの打席で二盗塁を決めた。1死後に佐々木の暴投で中野が三塁に進んだ。その直後、打席に入った大山が浮いた変化球を右前に運ぶタイムリーヒットで先制点をもぎとった。
先発の佐々木は6回で降板すると、7回には代わったばかりの八木彬から梅野隆太郎が左翼スタンドへソロホームランを放ち、それが決定打となり、2対0で勝利した。ここまで開幕から無傷の4連勝だった佐々木に初黒星をつけた。
佐々木朗希攻略には伏線があったという。岡田監督は佐々木攻略の突破口として、見逃し三振OKの指示を出していた。阪神打線は5回までに9三振を喫した一方で、4四球を数え、100球前後が目安の佐々木に球数を多く投げさせた。