プロ野球PRESSBACK NUMBER
《岡田采配はなぜ当たる?》阪神・岡田彰布監督が「無死一、二塁のゲッツーはOK」と語る“納得のワケ”「2死三塁なら次の打者は…」
posted2023/11/04 11:02
text by
掛布雅之Masayuki Kakefu
photograph by
Nanae Suzuki
日本シリーズ真っ最中の現在だが、今季、阪神タイガースは18年ぶり6回目のセ・リーグ優勝を果たした。なぜ長らく優勝から遠ざかっていた「ダメ虎」は復活することができたのか。同球団のOBで野球解説者の掛布雅之さんは岡田彰布監督がチームにもたらした数々の「変化」が優勝を呼び込んだという。その解説を掛布さんの『常勝タイガースへの道 阪神の伝統と未来』(PHP新書)から一部転載して紹介する。〈全3回の#3/#1、#2へ〉
2022年11月、阪神の秋季キャンプが高知県安芸市で3年ぶりに行われていた。新型コロナウイルスの影響で2020年、21年は中止となったが、この秋は練習も公開されて、多くのファンが球場に訪れていた。
2022年10月に阪神の監督として二期目が始まったばかりの岡田監督だが、就任以来、次々に繰り出される「岡田イズム」が話題となった。
この日も「無死一、二塁のゲッツーはOK」などの独特の持論が飛び出した。
練習後、報道陣の囲み取材で「打て」のサインについて、「無死一、二塁で『打て』のサインになったら、ゲッツーでもええんや」という大胆とも思える理論を展開して、報道陣を驚かせていた。
「無死一、二塁のゲッツーはOK」である理由は…?
無死一、二塁の絶好機に打順が回ってきて、打者がゲッツーに倒れたら「最悪の結果」と捉えるのが普通だ。だが、岡田監督によると「打て」のサインを出した時点で、ゲッツーは想定内だという。責任は「打て」のサインを出した監督である自分にあるのだから、打者は思い切って振っていけばいいという。
なぜ「無死一、二塁のゲッツーはOK」なのかというと、次の打者の心境を考えてのことらしい。
「2死三塁は、次の打者はものすごい打ちやすいんよ。それが『打て』と言うとんのに、右打ちするような変な打ち方でポップフライになって1死一、二塁になったら、次の打者は打ちづらいで。2死三塁なら凡打でも何の罪もない。ゲッツーにもならんしな。無死一、二塁でベンチから『打て』のサインが出たら、ゲッツーになっても知らんぷりしとけばええ」