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「ミスした映像を泣きながら見ていた」渡邊雄太“バスケIQ”の原点は“父母との反省会”…NBAで証明「ユウタはいつでもライトスポットに」 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byGetty Images

posted2023/11/01 17:00

「ミスした映像を泣きながら見ていた」渡邊雄太“バスケIQ”の原点は“父母との反省会”…NBAで証明「ユウタはいつでもライトスポットに」<Number Web> photograph by Getty Images

優勝候補の一角であるフェニックス・サンズでNBA6年目のシーズンをスタートさせた渡邉雄太(29歳)

 バスケIQを身につけた場として、渡邊は尽誠学園高校時代をあげたが、その前から、頭を使ってバスケットボールすることは身体にしみこんでいた。何しろ、父、英幸さんも、母、久美さんも、日本のトップリーグでプレーしていた元選手。久美さんは日本代表のキャプテンを務めたこともある。子供の頃から父にシュートを教わり、ミニバスでは母がコーチのチームでプレーするなど、家族の時間の多くをバスケットボールが占めており、バスケットボールについて話をすることも多かった。

 渡邊が今も覚えている子供の頃の光景がある。試合をして家に戻った後、夜遅くまで、両親が眠い目をこすりながらビデオを見返し、プレー内容を細かに記録していた場面だ。久美さんが映像を見ながら「8番、レイアップシュートを打ってイン」「5番、ジャンプシュート打ってアウト」「ライン踏んでターンオーバー」などと伝え、英幸さんがそれを記録として書きとめ、後からパソコンを使ってシューティングチャートも作っていた。

「めちゃくちゃ細かく、どのシュートを打ったとか、そこから(シュート成功率が)何分の何だったとか、シュートチャートみたいなのを細かくつけていたんです。ゴール下とか、ミドルシュート、右コーナー、左コーナーとか細かく分けて。僕のだけじゃなくてチーム全体の記録をつけていました」

「ミスした映像を泣きながら見ていた(笑)」

 ミニバスの頃は、渡邊自身、まだミスすることも多く、映像でその場面になるたびに怒られていた思い出もある。

「それを、僕は泣きながら見ていました(笑)。調子が悪かった試合はすごい怒られるんで。自分がうまくなってからは怒られることとかも少なくなって、いろいろ褒めてくれることも増えてたんで、小6とか、中3のときには、家族でいっしょにビデオ見ていた時間が楽しかったっていうのは覚えてます」

 まさに現代のアナレティック・バスケットボールにつながることを、家の中で子供のころから経験してきたのだ。バスケIQが身についていったのは自然なことだった。NBA選手でも、大学や、場合によってはNBAに入るまで、映像で自分のプレーを見て分析することに慣れていない選手もいるなかで、渡邊はそれをミニバスの時からやっていたわけだ。

「確かに、小学校のときから自分の映像を見ながら、このプレーはこういうとこがだめとか、こうしたからいいとか(話をしていた)。特にお父さんは厳しかったですけれど、ちゃんと理由づけを常にしてくれてたんで。同じようなミスを2回繰り返したときとかはすごい怒られましたし。小さいときからの土台があって今に繋がってるのがあると思います。小さい頃からそうやって、わからないなりに頭使って。例えば、『この間こういうことで怒られたから、きょうは、こういうことを心がけよう』とか。やっぱり、何かしらいろいろ考えながらやってたような気がします」

【次ページ】 渡邊が追い求める“ライトスポット”

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