シュート力とは違い、数字として表しにくい部分だ。それだけに、同じチームに入らないと気づいてもらえないことも多い。逆に、チームにさえ入れば、練習や試合を通してプラスαの要素を持っていることをわかってもらえて、評価が高くなる。渡邊がNBAに入ってこれまで5シーズンの間、ロスターに残れるか、カットされるかの崖っぷちの状態から生き残ってくることができたのも、バスケIQがあったからこそだ。

「それぞれでチームの約束事が違ったり、毎試合、いろいろちょっとずつルールを変えていってるので、他のチームにいると、ぱっと見ただけでは『何でこんな動きしているんだろう』『何でわざわざこんなことしてんだろう』とわからないことは絶対にあると思う。実際、同じチームになって見てもらえたら自分は、自分がやってる動きにどれだけ意味があるのかっていうのはわかってもらえるのかなと（思います）」

「高校時代からずっと言われてたんで」

　渡邊自身は、以前から、それを自分の武器のひとつとしてきた。

「元々昔から……特に尽誠学園のときに頭を使ってバスケットをするっていうことを色摩（拓也）先生からずっと言われてたんで。ジョージワシントン大学のときも、プレップ（アメリカ留学1年目に入ったセントトーマスモア）のときも、どこ行っても評価されてた部分です」

　NBA選手の中でも、自分のバスケIQは高いほうだと自負しているという。むしろ、それがないと、この世界で生き残ることはできないとすら思っている。

尽誠学園時代の渡邊雄太（2011年ウインターカップ決勝）©︎AFLO SPORT

「（NBAには）力のある選手が本当にたくさんいるんで、その中でほかの選手といかに自分を差別化するかってなったとき、シュート力はもちろん一つの武器として、ほかにプレーの遂行力だったり──それもバスケIQの一つだと思うんですけれど、そういうIQはすごく評価してもらえてる部分だと思う」

「選手の中には判断できるけどしない人もいるんですけど、僕の場合は判断して、それをちゃんと行動に出さないといけない。それができないと、この世界にはいられないと思ってるんで。そういう意味では、（NBAでもバスケIQは）高い方なのかなとは思ってます」

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