＜楽天外れ外れドラ1＞体重50kg台、“ガイコツみたいな無名投手”が153km左腕になるまで　桐蔭横浜大・古謝樹が語る「夢はホテルマン」からの成長秘話 

　ところが、「必死だった」高校時代に古謝は、その後の大きな飛躍に繋がる運命的な出会いを果たしていた。当時、湘南学院で臨時コーチを務めていた小倉清一郎氏の指導だ。かつて名門・横浜高校の野球部長として渡辺元智監督（当時）と共に黄金期を形成し、松坂大輔（元西武など）、涌井秀章（中日）ら数多のエースを育てた名伯楽は、チームの中で最もか細い古謝にある「才能」を見出していた。

小倉氏　©Hideki Sugiyama

ボールは“体の中”に隠して投げなさい

「ボールは“体の中”に隠して投げなさい」

　小倉コーチはそう伝えると、2つの防球ネットを並べた幅50～60cmほどの隙間で古謝に投球動作を繰り返させた。ボールを持つ左手が少しでも体から離れればそのネットに当たり、腕を振る動作が遠回りすればネットに引っかかる。こうして小倉コーチは徹底的に、「ボールの出どころが見づらいフォーム」の基礎を作らせたのだ。

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「その練習をするように言われたのは自分だけでした。ぎこちなくてもいいからとにかく投げろ、ということを言われていて……。本当にぎこちない投げ方でしたが、それを何カ月と続けていくうちに、矯正されて自然と腕が体に隠れていました」

©Haruka Sato

成瀬の高校時代に追いつき始めてるぞ

　その頃、小倉コーチが古謝に見せたのが、自身の教え子である成瀬善久（元ロッテなど）のピッチング動画だ。同じ左腕で「招き猫投法」と言われたボールの出所が見づらいフォームを参考にさせるとともに、「成瀬を超える。超えられるぞ！」と何度も励ましてくれたのだという。

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