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「幼い子どもと離れて…本当につらかった」女子カーリング小笠原歩さんに聞く“アスリート生活と子育ては両立できる?”「完璧主義をやめました」 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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posted2023/08/21 17:29

「幼い子どもと離れて…本当につらかった」女子カーリング小笠原歩さんに聞く“アスリート生活と子育ては両立できる?”「完璧主義をやめました」<Number Web> photograph by Getty Images

2009年に出産、子育てを経て競技に復帰。2014年のソチ五輪に出場した小笠原歩さん(右)。写真左は船山弓枝さん

「私の場合、近くに叔母が住んでいたので、子どもと荷物を叔母に預けて、『行ってきます』という感じで合宿や遠征に行くようになりました。しばらくして帰国すると、みるみる身長が伸びて自分が抜かされていて、いろいろなことに驚いたり、うれしくなったり(笑)。でも、当時は遠征から帰国したときほど、家事を頑張ってましたね。その頃は完璧主義者のところがあったので、汚れがあると気になったり、旦那が帰って来ると『散らかさないで!』と思ってしまったり。でも、それじゃ続かない。そこから“妥協”というキーワードが自分のテーマになったんです」

 英語では“compromise”という。

 日本語ではネガティブなニュアンスで捉えられることが多いかもしれない言葉だが、英語だといい結果を得るために折り合いをつける、という印象だ。

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「家事、子育てと、カーリングに共通していることはコンプロマイズが必要だということです。家事を100パーセントこなすなんて不可能だし、それでストレスを溜めるのは逆効果ですから」

子育て期までは「チームの仲間にも厳しかった」

 コンプロマイズの発想はカーリングの戦術、チームマネージメントにも影響を与えていく。

「カーリングでも100パーセントを目指そうとして、自分にもすごく厳しかったですし、チームの仲間にも厳しかったです。カーリングでは100パーセントのショットを達成するのは難しい。それは理解しているんです。でも、どうしても高いレベルのショットを期待してしまう部分が強かった気がします。子育て期に入ってからは、ミスをしてもいい形で終わらせたり、ミスをミスで終わらせないところに焦点を当てられるようになりました。コンプロマイズもひとつの作戦だと思えるようになったんです」

 生活と競技の結びつき。

 それがカーリングの特徴だと小笠原さんは話す。

「これはカーリング特有の感覚かもしれませんが、他の競技の方たちは、競技という柱があって、その周辺に生活がある。カーリングの場合、生活の中に競技があります。これは海外に行くとより感じるんですが、ヨーロッパは陸続きなので、選手たちは家族と一緒に車でやってきて週末の大会に参加している。旦那さんと子どもも一緒になって、そういう生活を楽しんでいる。日本はどうしても海外に遠征に行かなければならないので、生活の一部というわけにはいかないんですけどね」

「引退はないですから…」小笠原さんの転機

 競技を続けるにあたっては、経済的な支援も重要である。小笠原さんは、競技以外の支援の一つとして、日本スポーツ振興センター(JSC)のサポートプログラムを利用した。ちょうどJSCの子育て支援がスタートした時期と重なり、子どもを預けるにあたっての援助を受けたのである。

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