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スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
「幼い子どもと離れて…本当につらかった」女子カーリング小笠原歩さんに聞く“アスリート生活と子育ては両立できる?”「完璧主義をやめました」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2023/08/21 17:29
2009年に出産、子育てを経て競技に復帰。2014年のソチ五輪に出場した小笠原歩さん(右)。写真左は船山弓枝さん
「JSCの方から説明に来てくれましたね。何親等以内の親族には支給されないとか、当時は条件も厳しかったですが、いまではより利用しやすくなっているはずです。それと、私の場合はスポンサードしていただいていた北海道銀行さんのサポートが本当にありがたかった。今のカーリングを取り巻く環境と、ひと昔前とでは比べ物にならないほど厳しかったですが、そのなかでも競技を続けるにあたって、経済的援助をしていただけるということは大切だと実感しました」
そして2014年のソチ・オリンピックに出場し、ラウンドロビンで4勝5敗。準決勝進出ラインは5勝だったが、あと一歩及ばなかった。
その後、平昌オリンピック出場を目指したが、国内予選で敗退し、小笠原さんは転機を迎える。
「もう1シーズン、そしてもう一度4年後を考えると、自分のプレーヤーとしての成長幅が想像できなかったんです」
小笠原さん曰く「カーリングには引退って概念がないですから」ということで、トップレベルの競技会からは退くという形になった。
さあ、自分のやりたいことをやるぞ――と人生のフェイズを変えようとしたが、カーリング界が小笠原さんを放っておかなかった。
<続く>