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「こんなに重いの持ったことない! できるかな~?」と言いながら…藤澤五月の“バキバキボディ”を作った女性トレーナーが明かす「オリンピアンのストイックさ」
posted2023/08/10 11:03
text by
音部美穂Miho Otobe
photograph by
左:FWJ提供/右:Yuki Suenaga
かつて、これほどまでに“大変身”を遂げたオリンピアンがいただろうか。カーリング女子日本代表として平昌五輪で銅メダル、北京五輪で銀メダルを獲得したロコ・ソラーレの藤澤五月選手。7月、国内最大規模のアマチュアフィットネス団体「Fitness World Japan」(FWJ)が主催するボディメイクコンテスト「MOLA CUP」のビキニに登場し、ノービスで3位、オープンで2位の好成績を残すと、その鍛え上げられた肉体が日本中の度肝を抜き、大きな話題を呼んだ。
トレーナーとして彼女を指導した筋トレ系YouTuber・マムシ〇口子(まむしまるくちこ)さんが、そのトレーニングの全貌を明かす。第2回は、過酷な食事制限と、それを乗り越えた藤澤選手のアスリート魂について語ってもらった。(NumberWebインタビュー全3回の2回目/#3に続く)
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――2月に連絡をもらってそこからオンラインでのトレーニングがメインとのことでしたが、対面でのトレーニングも行ったのでしょうか?
マムシ 4月下旬に藤澤さんが上京する機会があったので、そこで初めて直接お会いし、その後も月に1~2回ほど上京の際に集中的にトレーニングしていました。通常のパーソナルトレーニングだと「週1回2時間×月4回」などがスタンダードなのですが、彼女の場合は、それが難しい。そのため、彼女が東京に滞在中に「1日中トレーニング×2日間」といったようにギュッと凝縮していました。
大会への出場を決めたのは本番の「2カ月前」
――大会への出場を決めたのは、いつ頃だったのでしょうか?
マムシ 4月末です。そこからはトレーニングに対する意識も変えてもらいました。というのは、カーリングの場合は、一番重要なのは“試合の場”ですが、ボディメイク競技の場合は、大会本番でやるのはウォーキングとポージングぐらいなんですよ。つまり、トレーニングの場が常に“本番”であり、そこで本気を出しきるという意識が必要になります。
藤澤さんは、こちらが指示したトレーニングメニューをきっちりこなしていましたが、“力を出し切る場所”を筋トレをしている瞬間にもってきてもらったんです。たとえば、ベンチプレスなら、1回目を持ち上げた時に「重い! こんなの10回もできない」と思うぐらいの重量からスタートし、1セット目から10回くらい持ち上げて、筋肉を追い込んでいくイメージです。