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“エンゼルス撮影40年”大谷翔平のガッツポーズを狙う写真家(63歳)が忙しすぎる…「三塁側は早いもの勝ち」「でも、ずっとアナハイムにいて」
posted2023/06/28 11:02
text by
田中仰Aogu Tanaka
photograph by
Nanae Suzuki
エンゼルス優勝も目撃…間近で見た「大物のリアル」
カメラマンになって40年以上になる。これだけ長くスポーツを追えば、有名アスリートを間近で見る機会にも恵まれる。そんな私が言うのだから多少の説得力はあると思う。大谷翔平は唯一無二のスターである、と。
ロサンゼルス出身の私は、1981年からカメラマンとして働くようになった。当時は新聞社の一員で、のちにエンゼルスとラムズ(ロサンゼルスに本拠地を置くアメリカンフットボールチーム)の担当を任された。エンゼルスからチーム帯同カメラマンとして働かないかと打診されたのが1986年。給料もよかったし、何よりエンゼルスファミリーの一員になれるのがうれしくて、オファーを受けた。
それから2013年までのおよそ30年、チームカメラマンとして働いた。あの2002年ワールドシリーズだってこの目で見た。そう、エンゼルスが初めて優勝した瞬間だ。若い世代にとっては“驚くべき事実”かもしれないが。
その間、数々のスター選手を撮影してきた。通算最多奪三振記録を持つノーラン・ライアンや、MLB通算3053安打のロッド・カルー、ほかにもアレックス・ロドリゲス、サミー・ソーサ、マーク・マグワイア、ランディ・ジョンソン……。
近くで見たスターは野球選手に限らない。アメリカンフットボール、アイスホッケー、テニスも追ってきた。余談だがマリア・シャラポワは印象深い選手だった。とにかく賢い。聞こえてくるライターとの会話が「アメリカの連邦予算について」とか政治的な話題も少なくなかった。テニスだけではなく社会問題に関心を持つ選手と知り、感銘を受けた。ほかにも、カリフォルニアで開催されていたテニスの大会中、食事をとっていたら隣にロジャー・フェデラーが座っていたこともある。