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大谷翔平“2年前に成績下落”HRダービーは辞退すべき?「超広角ホームラン」「4.9日に1度登板」MVP→WBCからまた進化したけど…
posted2023/06/28 17:02
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Nanae Suzuki
3月にあった第5回WBCで奮闘した侍戦士の大部分は、ペナントレースが始まって多かれ少なかれその「余波」ともいうべき影響を受けた。
西武の源田壮亮はWBCの試合中の負傷で出遅れた。ヤクルトの村上宗隆は極度の不振にあえいだ。オリックスの宇田川優希や、阪神の湯浅京己のようにシーズン半ばに至ってまだ十分に戦力になっていない選手もいる。アメリカでもカージナルスのラーズ・ヌートバーは負傷もあってレギュラーに定着できていない。今年からレッドソックスに移籍した吉田正尚も一時は1割台の低打率にあえいだ。
そんな中で、大谷翔平は「え? WBC? そんなのいつあったの?」という感じで、まさに絶好調だ。
驚くべきことに、球史に残るWBC決勝戦が終わってエンゼルスに復帰した大谷は、3月30日の開幕戦までにDHでオープン戦に3試合も出場している。成績は6打数3安打2得点2四球1三振、打率.500。そして28日のオープン戦の最終戦に出場して2日後に、敵地オークランドでのアスレチックス戦に「3番投手」で先発し6回を零封、打っては1安打を放っていた。
メディアは耳目を惹きつけるために大げさな見出しを考えるが、こと大谷に関しては「宇宙人」「ユニコーン」というのは、大げさでも何でもない気がする。
実は今季が「最も多くの打席に立っている」
エンゼルスは6月28日(日本時間)で81試合を消化した。162試合のペナントレースのちょうど半分となる。そこで2021年から3年間のチーム81試合目での大谷の投打成績を比較しよう。
OPSは出塁率+長打率で強打者の指標で「.800」が中軸クラス、「1.000」でMVP級。QS(Quality Start)は先発で6回以上投げて自責点3以下、投手の最低限の責任とされる。その試合数。カッコ内の「%」は投球に占めるストライク率。
2021年(7月2日)
打:76試307打席270打数76安30本66点12盗 率.280 OPS1.068
投:12登3勝1敗5QS 60回970球(59.3%)6被本83三振 率3.60
2022年(7月3日)
打:78試334打席294打数77安18本51点8盗 率.262 OPS.848
投:13登7勝4敗7QS 74回1179球(65.9%)8被本101三振 率2.68
2023年(6月28日)
打:79試355打席306打数93安28本64点11盗 率.304 OPS1.040
投:16登7勝3敗11QS 95.1回1534球(63.7%)12被本127三振 率3.02
MVPを受賞した2021年は5試合、22年は3試合休んだが、今年は2試合だけ。チーム81試合時点では、キャリアでも最も多くの打席に立っている。