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「中村憲剛、内田篤人、阿部勇樹ともよく…」森保一監督の“表に出ない才能” W杯ドイツ戦、大劣勢も「西野朗さんは想定内と語った」理由
text by
山本昌邦&武智幸徳Masakuni Yamamoto&Yukinori Takechi
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2023/06/20 11:03
日本代表3月シリーズでの森保一監督。名波浩コーチらが入閣した第2次政権でどんなチームを作るか
武智 そんなことを聞くのは代表監督の沽券に関わるみたいな?(笑)。「アルテタより俺の方が上だよ、みたいな」(笑)。森保監督にはそういう狭量なところはないんじゃないですか? まったくの想像ですけど。日本代表の選手たちが日々クラブで体感していること、リアルな情報を一番の特等席で聞こうと思えば聞けるのが、今の代表監督でしょう。その情報量は海外組が一人もいなかった時代と比べれば圧倒的に増えたんじゃないですかね。だとしたら、それはすごくいいことですよね。
山本 まさしくそうですよ。そういう対話を森保監督は繰り返していますからね。
武智 それは有意義なことですよね。
主語が違うんですよね、森保監督は
山本 主語が違うんですよね、森保監督は。彼が話すときは「私」ではなく「君たち」が主語になる。選手たちに問いかけるわけです。「君たちはどう思う?」という具合に。ヨーロッパ視察のときにもいろいろなことを聞いているはずです。その中で「日本代表は何ができると思う?」とも聞いているでしょう。そうやって「こうやったらもっと良くなる」という考えを彼の中で集約して、蓄積している。今は映像がすぐに手に入り、戦術についてはテクニカルスタッフがいるから分析も素早くできる。それとは別に、選手から生の実際の話を聞けるのはとても重要なことですよ。それをこの4年間やってきて、その蓄積というのは相当なものになっていると思います。
武智 山本さんがコーチの時代なら、中田英寿に「(ローマの監督だった)ファビオ・カペッロってどんな練習をさせているの?」と聞くことはできたでしょうけれど、数は限られていたわけですよね。それが今は、ほぼ代表選手の全員が海外組で、彼らから興味深い話を聴ける時代になったわけですよね。だとしたら、それを有効に活用すれば、さらにチームも監督も伸びていくような気がします。
山本 森保監督は『聞く達人』ですよ。自分から話しているよりも、人から聞いている印象の方が強い。いつも人の話を聞いていて、大事なところで、「これどうなの?」と問いかけるイメージですね。
西野さんは「想定内じゃないですか」と
武智 その聞く達人が、初戦のドイツ戦で、多くの人が驚くことをやってのけた。山本さんはあの試合をどう見ていましたか。