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遠藤航「W杯優勝を」“新キャプテン演説”に三笘薫、鎌田大地、堂安律が…1対1で聞いた“舞台ウラの最適解”「その上で考えたのは」
posted2023/06/18 11:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Kiichi Matsumoto
「みんなに活を入れるつもりで言ったわけではないんですよ! カタールW杯前のことを振り返り、W杯以降の半年間も考えた上で、最終的にチームの雰囲気もふまえて、ああいう風に話しました」
遠藤航の“就任演説”での「W杯で優勝」というキーワードだけが独り歩きしている。果たして、知性と思慮深さからくる遠藤の真意は伝わっているのだろうか。
新キャプテンは劇的な言葉でチームメイトの奮起を促そうとしたのではなかった。
エルサルバドル戦後のこと。取材エリアの端っこで、あのときのメッセージにたどり着いた経緯について、遠藤はいつも通り、丁寧に言葉をつくして語り始めた――。
「どうやったらW杯で優勝できるのかを考えながら…」
その内容に触れる前に、時系列に沿って振り返っていこう。
6月12日、日本代表のキャンプ初日に遠藤は新たなキャプテンに指名された。長谷部誠、吉田麻也に次ぐキャプテンとして、チームの前でスピーチをすることになった遠藤は、こう呼びかけた。
「どうやったらW杯で優勝できるのかを考えながら行動していきましょう!」
そこで話した内容について正確に記すと、以下のようになる。
「代表チームの難しいところは競争がある中で、(チームのために)やっていかないといけないというところ。(本大会でメンバーに)入るか入らないかわからない選手も、代表に来たならば、W杯でチームとして結果を残すためにやらないといけない。初めて(メンバーに)入ったとか前回は入れなかったとか、若いとかベテランだとかは関係なく、日本代表が、どうやったらW杯で優勝できるのかを考えて行動していきましょう」
「活を入れるつもりで言ったわけではない」
「W杯以降の半年間で色々考えた」
この2つが同居しているところに、遠藤らしいリーダーシップが表れている。
言葉で引っ張らずとも、みんなを上手にまとめあげられる。それでいて、どうしてもチームをまとめあげなければならない局面になれば、激しいデュエルを恐れないプレースタイルと背中でメッセージを伝えることができる。それがキャプテン遠藤の長所である。
ドイツで2シーズンにわたって主将を務められたワケ
遠藤は2シーズンにわたってドイツのシュツットガルトでキャプテンを務めてきた。ただ、キックオフ直前の円陣で多くを語りかけることは決して多くはなかった。むしろ、そこではドイツ人のアントンが熱弁をふるうシーンが目立ったほどだ。
では、言葉で引っ張ろうとしないからという理由で、シュツットガルトの人たちが、「遠藤がキャプテンにふさわしくない」と考えていたのだろうか?
答えは「ノー」だ。