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遠藤航「W杯優勝を」“新キャプテン演説”に三笘薫、鎌田大地、堂安律が…1対1で聞いた“舞台ウラの最適解”「その上で考えたのは」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/06/18 11:00
エルサルバドル戦は出場しなかった遠藤航だが、試合後に新キャプテンとして1対1で話を聞いた記者に興味深い言葉を残した
今シーズンのシュツットガルトは暫定監督を含めて、4人の監督が指揮を執った。監督交代に伴ってキャプテンも代わるのはドイツではよくあることだ。ちなみに2016-2017シーズンに酒井高徳がブンデスリーガの歴史上、日本人として初めてキャプテンを任されたのも、監督交代がきっかけだった。
遠藤は、4人の指揮官“全員”からキャプテンマークを託されてきた。そのキャプテンシーへの評価を測る上で、これほど雄弁な事実は他にない。しかも、遠藤がプレーしているドイツは、ヨーロッパのなかでもキャプテンマークの重みがとりわけ大きな意味を持っている国である。
遠藤が“最適解”にたどり着いた2つの理由とは
では、そんな遠藤がじっくり考えた末に、キャプテンを任されたタイミングで「W杯優勝」と口にした理由はどこにあるのだろうか。
それは遠藤の追い求める「最適解」と関係している。
「サッカーにおいての最適解を求め続け、2026年に最高の結果を残す!!」
3月の代表活動中に日本代表の監督と選手たちは決意表明を書くように求められた。遠藤は、他の選手よりもひときわ長い決意表明を記した。
自身のオウンドメディア「月刊・遠藤航」でもサッカーについての絶対的な正解を提示しない代わりに「最適解」を探ることをテーマに活動を続けてきた。そんな遠藤は、日本代表の目標についての最適解も、カタールW杯後の半年間をかけて探ってきた。
目標設定の「最適解」にたどり着いたのには2つの理由からだったという。
1つ目が、日本サッカー界がいつの間にか作り出していた、目に見えない壁を打ち破って上に行くためだ。
「今は選手もメディアもファンも、W杯といえば『ベスト16の壁』があるみたいになってしまっていますけど……目標設定を変えてしまえば、結果的にベスト16を超えられているという可能性は十分にあると思うんです」
日本代表がW杯のべスト16で4回敗退した過去から学ぶのは、決して悪いことではない。とはいえ、それだけでは必要以上に壁を高くしてしまう恐れがある。例えば日本代表がW杯に出場したことすらなかった20世紀には――W杯予選における「アジアの壁」なるものが存在していると認識されていたが、今はそんな言葉を口にする人はいない。ハードルを越えるために必要なのは案外、そうした心理的なハードルを取り除くことだったりもするのではないか。
「2050年までに優勝と言ってますけど、それが…」
もちろん、それだけではない。