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「今だから言えます」井口資仁が語る佐々木朗希“あの完全試合目前の降板”はなぜ?「交代の一番の理由は…」「朗希が叩かれちゃいけない」
posted2023/04/29 11:01
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph by
Tatsuo Harada
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井口監督時代の「ドラフト戦略」
最下位のロッテを引き継いだ井口資仁監督は就任1年目から5位、4位と順位を上げ、3年目にはソフトバンクと優勝争いを演じて2位。翌年はオリックスにわずか2.5ゲーム差の2位と着実にチームを押し上げた。昨年はレアード、マーティン両外国人の不振もあって5位に沈んだが、『2025年までに常勝チームを作る』という球団のプロジェクトを着実に前に進めた。
井口監督時代、ロッテはどのようなドラフト戦略を立てていたのか。
「まず、スカウトが150人ぐらいリストアップします。それを夏場から見て、ドラフト前に全体会議を4、5回します。チームとして何を最優先させるべきか、そこに誰が当てはまるのかを考えて、ポジション関係なく1位から150位まで順番を付ける。そうして1位から狙っていくやり方です」
就任から5年間の1位を振り返ると、2017年の安田尚憲(内野手・履正社高)を皮切りに、藤原恭大(外野手・大阪桐蔭高)、佐々木朗希(投手・大船渡高)、鈴木昭汰(投手・法政大学)、松川虎生(捕手・市和歌山高)だった。同期間の各球団の高校生ドラ1は巨人と楽天が1人、西武は0人。ロッテの4人は12球団最多だった。監督の立場として、将来性重視の高校生よりも即戦力の大学・社会人を欲する気持ちはなかったのか。
「もちろんありましたけど、球団がプロジェクトを掲げて1つずつ段階を踏んでいるので、大学生や社会人よりも高校生を優先していました。ウチ(ロッテ)はFAで大物選手を取ったり、有力なメジャーリーガーを引っ張ったりできない。自前の選手をどうやって育てていくかというチームですから、若い選手をどんどん使って経験を積ませました」