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「今だから言えます」井口資仁が語る佐々木朗希“あの完全試合目前の降板”はなぜ?「交代の一番の理由は…」「朗希が叩かれちゃいけない」
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byTatsuo Harada
posted2023/04/29 11:01
昨季まで千葉ロッテマリーンズを率いた井口資仁がNumber Webのインタビューに応じた。佐々木朗希の2試合連続パーフェクト達成「未遂」の裏側とは
「僕の口から、選手の体の状態は話せませんからね。『朗希が代わりたいと言った』と漏らしたら、彼が批判されるかもしれない。僕がバッシングされる分にはいいけど、朗希が叩かれちゃいけない。監督は選手を守らなきゃいけないんですよ。去年は、まだ怪我のリスクが高かったので1試合100球、1年130イニングと決めていました。それも交代の理由の1つです。ただ、シーズン中にそのことは言えないですからね」
今の時代、監督は本音を言えるのか
井口は事情を隠して矢面に立った。一方で、「なぜ自分が批判されなければならないのか」という気持ちは湧き上がらなかったのか。
「そこはね、しょうがないと思います。喋れないことって、たくさんあるんですよ。本音のコメントでもメディアの見出しやSNSで切り抜かれて、意図とかけ離れる場合もある。前後を省いて『あの選手はダメだ』という部分だけ取り上げられるので、名指しの表現はなるべく避けようと思っていました。切り抜きを見て、『選手を守れ』とか書かれてますけど(笑)。まあ、書き込みする人のほうが珍しいですから」
井口は信念を貫いた。昨年、朗希は20試合に先発。100球超えはパーフェクトに絡んだ2試合のみで、年間投球回数は129回3分の1だった。シーズン前の計画を破らず、勝利よりも育成を優先した。
「正直、去年は朗希のローテーションをどうするかで、他のピッチャーにだいぶ迷惑が掛かったと思います。だから、今年は朗希がしっかり回ってくれると、周りも投げやすくなってくる。考え方は1年目からプロフェッショナルで、本当に1日も無駄にしない生活をしている。自分の目標に向かって、毎日しっかり進んでいると思います」
WBCの熱投、そしてプロ野球での無双状態――佐々木朗希の姿を見るにつけ、「我慢」の意味を思わずにはいられない。
〈つづく〉
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