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「今だから言えます」井口資仁が語る佐々木朗希“あの完全試合目前の降板”はなぜ?「交代の一番の理由は…」「朗希が叩かれちゃいけない」
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byTatsuo Harada
posted2023/04/29 11:01
昨季まで千葉ロッテマリーンズを率いた井口資仁がNumber Webのインタビューに応じた。佐々木朗希の2試合連続パーフェクト達成「未遂」の裏側とは
練習・試合の“データ化”がスゴかった…
選手獲得に注ぎ込める資金は、他球団と比べて多いとは言えない。日本プロ野球選手会の2023年の年俸調査(支配下の日本選手714人対象)によれば、ロッテは12球団の平均年俸で10位の3485万円。トップの巨人と倍近い差がある。それでも、選手への投資は怠っていない。2020年から順天堂大学の協力のもと、詳細なデータで体調を管理している。
「キャンプ、オープン戦、公式戦における各選手の走行距離を出しています。試合だけでなく、練習も含めてですね。『去年よりかなり走っているから、少し練習量を落とそう』などケガ防止の判断材料にしています。ピッチャーは試合中のブルペンの球数も全部数えています。それもあってか、全体的にリリーフが試合中に肩を作る回数が少なかったので、交代したい時にまだ行けないということもよくありましたけど」
朗希の第一印象「ケガのリスクがめちゃくちゃ高い」
有望な新人が続々と入団する中で、井口は“令和の怪物”佐々木朗希に細心の注意を払いながら育成した。高校時代に既に160キロを投げており、メディアやファンは1年目からの活躍を期待した。しかし、ルーキーイヤーは二軍でも1試合も投げさせなかった。
「初めて見た時、ケガのリスクがめちゃくちゃ高いなと思いました。スピードが出る分、ヒジに大きな負担が掛かる。朗希はプロに入っても身長が伸びていたし、(骨の成長段階が終わると消える)骨端線もまだあった。体が出来上がっていない時期に、必要以上に投げると壊れてしまいますからね。2年目の春ぐらいに骨端線が消えた。そこからしっかり投げ込ませて、一軍で登板させました」