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「直前に監督解任して団結するのは…」「ドログバが入った時、みんな“どうしよう”と」岡崎慎司36歳が明かす“W杯出場3回の教訓”
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2022/11/22 11:01
ロシアW杯で渾身のダイビングヘッドを放つ岡崎慎司。過去3大会の経験を余すことなく語ってくれた
「もう少し違う個性があったら、と思うことはあります。例えば、足がすごく速い選手をカウンター要員としてメンバーに残すのもアリだったのかなって」
W杯は「勝つためにどうすべきか突き詰める大会」
W杯では自分たちの基準となる戦い方を持つのはもちろん、プランB、C、Dくらいまで準備し、それぞれの状況や戦い方に応じて備えておかないと対応しきれなくなってしまう。
「W杯は日本にとって自分たちがどうしたいかの大会ではなく、勝つためにどうすべきか突き詰める大会だと思いました。そんなに甘くないなって。もちろん、理想はあります。かつてのスペイン代表みたいに全選手がボールを持って、を求める時代もありましたけど、いまやスペインだって、そういうサッカーだけじゃなくなってきている。個々の力だけで飛び抜けることができないなら、やっぱり、戦う種類をたくさん持っておいた方がいいと思う。日本が勝つための手段がたった一つじゃ、やっぱり難しいですよ」
“ハリルのアルジェリア”を見て思ったこと
14年大会では、手段を増やすということに関して気づきとなる国があったという。
アルジェリア代表だ。決勝トーナメントの初戦、同大会で優勝したドイツをあと一歩で敗退というところまで追いつめた国である。この試合、アルジェリアはスコアレスを続け、最終的に延長戦の末に1-2で敗退した。ちなみに、アルジェリアを率いていたのは元日本代表監督のヴァイッド・ハリルホジッチだ。
どうすれば自分たちのサッカーを突き詰められるのか、だけではなく、どうすれば相手の良さを消して、勝ちにつながる可能性を高めることができるのか。そのためのヒントを提示してくれた試合だったと、岡崎は振り返る。
「たまたま試合を見たんです。ドイツ相手にすごくいい試合をしていた。アルジェリアの試合を見終わったあとに、『俺たちも、もっとやりようあったのかな』と思ったんです」
世界には様々なサッカーがある。勝利へ向けたチャレンジの方法も、たくさんある。
それに気づいた岡崎の胸には、「もっとできたはずだ」という思いが膨れ上がってきた。「やり切った」という感覚はなかった。だから、そこからまた戦い始めた。