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カナダに敗戦…「戦術三笘」は森保ジャパンを救えるのか 「中にも入ってくれ、と」三笘薫がプレミアで覚醒+応用が難しい理由
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/11/18 11:02
体調不良で代表合流は遅れたが、三笘薫と「戦術三笘」は確実にカタールW杯のキーとなる
毎日トレーニングを行えるデ・ゼルビ監督であっても、攻撃を機能させるまで1カ月以上の時間を要した。無得点に終わったブレントフォード戦(0-2●)、ノッティンガム・フォレスト戦(0-0△)では決定機を作れず、「いまだ連係構築中」の印象を残した。
マンチェスター・シティのペップ・グアルディオラ監督も「3週間程度の時間でポジショナルプレーを完成させるのは難しい。時間が足りないからだ。招集から試合まで2~3週間しか時間のない代表チームでは、それは相当難しい。ひとりでもポジショナルプレーを理解していない者がいれば機能しないからだ」とその難しさについて語っている。
リスクを伴うサッカーである点も無視できない
また、リスクを伴うサッカーである点も無視できない。ブライトンではサイドバックが高い位置にポジションを取り、最終ラインのCB2人だけでビルドアップを開始する。当然、途中でボールを奪われたら、失点に直結するリスクを抱えることになる。
実際にリーグ戦のブライトンは、マンチェスター・C戦(1-3●)、チェルシー戦(4-1○)、ウルバーハンプトン戦(3-2○)、アストンビラ戦(1-2●)と、失点の多さが目立つ。ドイツ、スペインの強豪と同組に入った日本代表が、同じ戦い方で挑むのはリスクが高すぎるだろう。そもそも自陣で守備ブロックを敷き、慎重な入り方をするであろう日本とは、アプローチの仕方がまるで違う。
こうした一連の理由から「ブライトンで活躍しているが、相当の自信を持って代表に行けるか」の問いに、三笘は「いや、そうではなくて。代表になるとまったく変わってくる」と強い口調で返したのである。
17日に行われたW杯前最後の強化試合カナダ戦。日本代表は相馬勇紀のゴールで先制したものの、セットプレーから同点に追いつかれ、試合終了間際にPKを与えて1-2で敗戦した。日本代表の森保一監督は、W杯で三笘をどのように活かすのだろうか。指揮官として、戦術の引き出しと力量が大いに問われるはずだ。<つづく>
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