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冷房完備のスタジアムは22℃設定、あふれるマネーで目指すエコ…いつも工事中のW杯ホスト国カタールってどんなとこ?
posted2022/11/18 11:00
text by
岸名章友(日本経済新聞社)Akitomo Kishina
photograph by
Getty Images
今回のワールドカップの舞台、ドーハを首都とするカタールはペルシア湾に突き出た米粒のような形をしています。面積は秋田県よりもやや狭いくらい、人口は約280万人。2014年ブラジル大会の取材では、「周りは全員泥棒だ」と思うくらいに身構えていたものですが、ドーハではそうした治安の心配はまずありません。
国土は小さくても天然ガスなど天然資源で潤うリッチな国で、その資金力はヨーロッパのサッカーシーンも動かします。政府が出資する非営利団体「カタール財団」は一時期バルセロナの胸スポンサーとして契約し、話題になりました。パリ・サンジェルマンの現会長はカタールの実業家。中東で初開催となるワールドカップのホスト国を射止められたのも、こうした存在感の延長線上にあるといえましょう。
今大会は全64試合がドーハ近郊で行われ、国際サッカー連盟(FIFA)にいわせれば「最もコンパクトなワールドカップ」。やや遠い郊外の会場もありますが、市内を端から端まで車で移動しても1時間少々なので、1日2試合のハシゴ観戦も可能。飛行機移動だけで半日や1日を費やしたブラジル大会やロシア大会からは想像できないほど、振り幅がすごい。
とはいえ試合のたびに街を転々とし、その表情に触れるのもワールドカップならではの楽しみ(ロシア大会ではサランスクで地元の人に「サウナに連れて行きたい」とやたら誘われました)。ひたすらサッカーに集中せよ、ということでしょうか。あるツアー企画会社は「長期ツアーにオプションで観光をつけようにも、隣国まで足を延ばさないとスポットがない」と嘆いていました。
試合会場の気温は22度設定
HPなどによると大会期間中の気温は18~24度。8つの試合会場は気温22度ほどに空調が整えられる見込みです。涼しい風が吹き込むが天井を閉めるわけではなく、昨年のアジア最終予選で赴いた人々によれば少し寒いくらいのときもあるのだとか。ショッピングモールなど屋内では冷房がきつく、羽織るものは手放せません。かつて中東に遠征した日本代表選手は、部屋の中と外の温度差が大きいために結露がすごかったとも言っていました。
「人間同士が抱き合ったほうが、暑くない」。夏には気温が45度を上回ることもあるから体温に触れる方がマシだと、在住日本人の方々は半分本気で言っていました。開催決定当初は試合会場に空調をガンガンに効かせ、夏でも大会はできるという触れ込みだったのですが、結局、開催は通例の6〜7月から11〜12月に移されています。