村田諒太「王者の本棚」BACK NUMBER
『大局観――自分と闘って負けない心』棋士に学ぶ敗北の受け入れ方。この一冊が人生を豊かにする。
text by
村田諒太Ryota Murata
photograph bySports Graphic Number
posted2022/11/16 07:00
『大局観――自分と闘って負けない心』羽生善治著 角川新書 880円
選択肢は多いほうがいいのか、それとも少ないほうがいいのか。羽生善治さんはこう言います。
「選択肢が多ければ多いほど、いろいろな可能性があるということになるが、そのぶん、迷いや後悔は多くなる。ここが現代の抱えているジレンマでもあるし、ぜいたくな悩みと言えるのかもしれない」
迷いが生まれれば選択ミスを起こすことにもつながり、選ぶものがたくさんあることでむしろ能力を発揮できなくなる。なるほどなって思いましたね。将棋のプロの世界に長く身をおいて、その戦いのなかでずっと神経をすり減らしてきた羽生さんだからこその言葉。どれも納得感がありました。