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『はじめの一歩』ボクシング漫画の名作が持つ、拳闘を否定しない懐の深さ。 

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村田諒太

村田諒太Ryota Murata

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posted2022/09/23 07:00

『はじめの一歩』ボクシング漫画の名作が持つ、拳闘を否定しない懐の深さ。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『はじめの一歩』森川ジョージ著 講談社 現在135巻まで刊行

 この夏、故郷に帰省した際、ボクシング漫画『はじめの一歩』が100巻超えで置いてありました。僕が学生のころまで買っていたのが、確か鷹村守がブライアン・ホークを倒して世界ジュニアミドル級王者になる44巻くらいまで。ウチの父親が孫にお願いされて買いそろえたんだなと何となく察しがつきました。

 思い入れがあるとすればやっぱり鷹村とホークの一戦。不遜で挑発を繰り返すホークでしたが、ボクシングのスタイルはナジーム・ハメドがモチーフ。ボクシング好きからすれば、そういうのが伝わってくるとクスッときたものです。

 あの鷹村が危うくダウンしそうになったとき、幕之内一歩ら鴨川ジムの後輩たちが手を伸ばして背中を押してくれるように感じて踏みとどまるシーンがありました。実際にそれに似た感覚を持ったのが、アッサン・エンダムとのリマッチです。序盤からハイペースで戦ったため、中盤はかなりしんどかった。それでもこの試合は絶対に勝たなきゃいけないって思うと、周りからもっと頑張れって背中をはたかれたような気がしたんです。

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