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立教大55年ぶり箱根駅伝出場まで何があった?「“夜10時半消灯ルール”に下級生の反発もありました」“走れなかった”4年生キャプテンの告白
posted2022/10/20 17:03
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
EKIDEN NEWS
目を真っ赤にしたキャプテンがいた。
55年ぶりに箱根駅伝出場を決めた立教大学のキャプテン、ミラー千本真章(4年)である。
「後輩たちが、箱根駅伝に連れて行ってくれました」
そう話すミラーは、立教新座中学、立教新座高校出身。10年間、立教の文化で過ごしてきた大学生だ。
彼は高校3年でインターハイの800mにも出場したが、私は彼の高校時代の卒業論文(立教新座には卒論がある)について、アドバイスした経緯があった。彼のテーマは箱根駅伝についてのもので、何冊か箱根駅伝についての著作がある私に、アドバイスを求めてくれた。
「正直、後輩たちが怖いです(笑)」
ちょうどそのころ、彼が高校3年の秋に立教大学が2024年の創立150周年をターゲットとして、第100回箱根駅伝に出場するというプロジェクトが発足した。そして監督には中大出身の上野裕一郎氏の就任が決まり、ミラーは来たる大学生活をこう予測していた。
「これまでとは違う立教になるでしょうね。上野監督が来て、ひとつ下の学年からは高校のエリート選手たちがやってくるんですから。正直、後輩たちが怖いです(笑)」
そう話していたが、上野監督の指導はミラーの実力を引き出した。2021年の関東インカレ2部の1500mでは優勝。2021年、2022年と同種目で日本選手権にも出場した。
「上野監督の立てる練習メニューには、もう全幅の信頼を置いていたというか、面白かったです。とにかく、いろいろなメニューがあって、『へえ、こう来るのか』とワクワクしながら取り組んでいました」
上野監督が就任して、ターゲットとなる箱根駅伝予選会では総合28位、16位と推移していったが、2021年には中山凜斗(当時1年・九州学院)、2022年には斎藤俊輔(当時4年・秦野)が関東学生連合の一員として箱根を走り、立教は進歩を続けていた。
“夜10時半消灯ルール”に反発「せっかく立教に入ったのに」
昨年の予選会で16位となったあと、学生幹部の代替わりが行われたが、ミラーは主将に立候補する。
「僕は中学から立教で過ごしてきたので、“立教らしさ”を知っていると考えていました。そこでキャプテンに立候補して、チームを作っていこうと思ったんです」