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「CLレアル戦で光った旗手怜央とセルティック勢を」「戦術三笘が…」欧州在住カメラマンが“W杯26人選考前の苦闘”に感じたこと
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/10/01 11:02
スコアレスドローで終わったエクアドル戦。森保監督率いる日本代表を間近で撮った
その頃、日本ベンチ前では、スタッフと話し合う森保監督の姿が見られた。
重心の低くなった陣形の中、三笘を中心に攻撃を再度構築しようと試みたものの、距離感も合わないまま、有効な攻撃を仕掛けることはできなかった。
「戦術三笘」、ダブルボランチも持ち味を出し切れず
後半頭から古橋に代わって上田綺世が投入された日本代表は、円陣を組みスタート。
しかし基本戦術は変わらず、目の前の戦況も前半とほとんど変わらなかった。いわゆる「戦術三笘」も、ネイマールなどと死に物狂いで戦ってきたエクアドル相手だけに、鳴りを潜めた。
一度だけ三笘らしい突破からクロスを送ったが、南野のシュートは枠をとらえきれなかった。ピッチレベルで見る限り、ボランチとして先発した柴崎、田中碧も持ち味を発揮することはできないままの印象だった。
後半もエクアドルの波状攻撃に息絶え絶えになってきた67分、鎌田、遠藤航、相馬勇紀が投入された。すると状況は一変、南野に代わった鎌田がボールを運ぶと、ワントップの上田までようやくボールが届くようになった。また柴崎に代わった遠藤が指示を送る姿が目についた。
イレギュラーなメンバーではなく、スタメン組としての確固たるベースがすでに身についている遠藤だからこその微調整を行えたように感じる。
徐々に日本の攻撃が強まり勝ち越しへの形も見え始めてきたが、そこで相手へPKを与えてしまう。残り時間も考えると万事休すと思われたが、この窮地を救ったのもまたGKシュミット・ダニエル。見事なPKストップで得点を許さなかった
メンバー発表前最後の試合として考えたこと
試合は0-0のまま終了。
ベンチから戦況を見つめたメンバー、また駆けつけたサポーターに挨拶をする選手たちの表情からは、なにか納得いかない、煮え切らない表情が印象に残った。
そして、こんなゲームをしてしまったことへの謝罪だったのか、来てくれたことへの感謝だったのか、どこまでも礼儀正しい森保監督のお辞儀姿がこの日の最後のカットとなった。
キリンチャレンジカップとして行われた対アメリカ、対エクアドルの2戦。
重要だったのは、この2試合がメンバー発表前最後の試合だったことだ。
その最後の一戦での“メンバー総入れ替え”の意義とは、何だったのか、とふと思った。