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驚きのブンデス首位クラブで充実… 原口元気「11人が1つの生き物のように」“W杯のために全力スプリント”を再び磨く意図とは
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byLars Baron/Getty Images
posted2022/09/27 11:15
アメリカ戦での原口元気。ロシアW杯から4年、彼の進化をカタールの地で見ることはできるか
ウニオンでの昨シーズンは、新監督のもとでの学びと、個人分析官とのやり取りで得られたものを実行しようとする意識が強かった。
成果は得られた一方、以前まで強みとしていたフィジカルトレーニングの効用を出しづらくなる面も感じていた。具体的には、長い距離を走るようなスプリントだ。原口のスプリント能力が生きた場面といえば、前回のロシアW杯のベルギー戦、名手ティボウ・クルトワから奪ったゴールは、カウンターから50mほど駆け抜けたのちに決めた、鮮烈な一撃だった。
今日のこの1本が、大事なところで活きてくる
そんな昨季の反省を活かすために2022年夏、日本での自主トレ期間には、筑波大学の谷川聡准教授のもとで、スプリント能力を引き出すための準備をした。
2014年から始めたフィジカルトレーニング、3年前から取り組んでいる個人分析官とのレッスン、そして昨シーズンから籍を置いているウニオンでの学びの多いサッカーも。
長期的に取り組んできたことが、自身のなかでケミストリーを起こしているように原口は感じている。
「俺自身、ポジションも変わったし、分析をやったことによってプレーのクオリティーは上がった。31歳になったけど、フィジカル的な準備はおそらく20代の1番良い時と比べても全然変わっていないくらいできている。
あとは、結果を出すだけ。そう思って、毎日のトレーニングを頑張るだけだね。今日のこの1本が、大事なところで活きてくるんだから」
自主トレのメニューの合間にボソッとそう話した原口は、休憩が終わるとまた、全力でのスプリントトレーニングで汗を流した。
メンタル、戦術眼、スプリント力……。科学者のように探求を続ける原口にとって、そんな「心技体」のケミストリーの成果を証明する舞台こそが、現時点での集大成となるカタールW杯なのである。
<#1、#2、#3からつづく>
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