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「昔はハリルさんに怒られたけど」「ドイツ語力も…」30代となった原口元気に「心の余裕ができた」2つの決定的理由
posted2022/09/27 11:09
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Boris Streubel/Getty Images
「ドイツに来てから一番楽しいシーズンだった」
原口元気は、所属クラブでの21-22シーズンをそう振り返る。2019年の1部昇格以来、資金力では下から5番以内に位置し続けているウニオン・ベルリンが、クラブ史上最高位の5位になり、EL出場権を獲得した。
だが、それだけが原口が心の底から充実感を覚えた理由ではない。
自身の成長を感じ、最先端のサッカーに触れ、将来の可能性も見出せたからだ。
「ウニオンでは、自分ができることや、やりたいことと、ウルス(・フィッシャー監督)が『これを表現しろ』というものが、すごく近かったから。そこがガッチリはまった気がして。そうなると楽しいし、パフォーマンスのレベルも上がるのかなと」
正念場に立たされた原口とウニオンが覚醒した一戦
そんな原口のハイライトの1つは、今年2月。第24節のマインツ戦だった。まず、そこまでの状況を振り返る。
原口は21節アウクスブルク戦で途中交代を命じられた。そして、次節ドルトムント戦から2試合続けてベンチで90分を過ごした。しかも、ドルトムント戦は、ウニオン加入後リーグ戦で初めて出番を与えられない試合となった。
原口は、正念場に立たされていた。
ただ、それ以上に苦しい状況に置かれていたのは、チームの方だった。アウクスブルク戦から3連敗で、順位は4位から9位へ急降下。何より、3試合続けてノーゴールに終わっていた。堅守のチームとはいえ、これだけ点が取れない試合が続くと厳しい。
原因は、アウクスブルク戦の前に、当時のエースだったクルーゼがヴォルフスブルクへ移籍したことだった。クラブ史上最高成績を残せるのではないかと期待されたところの急失速で、フィッシャー監督にも大きなプレッシャーがのしかかっていた。
紅白戦で見せた“ベストパフォーマンス”
なんとかしてチームを助けたいと考えるのが原口だから、2試合続けて出番が与えられなかった時期に何も感じていなかったわけではない。監督への直談判も、一瞬、頭をよぎった。
「どうして、使ってもらえないんですか!?」
ヨーロッパではそのような状況で、監督と選手が直接コミュニケーションをとるのは普通のことだ。ただ、このときの原口は思いとどまった。
このタイミングでは、やめておこう。他にやれることがあるはずだ。
ところが、直談判をあきらめた後、予想していなかった事態が起きた。