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驚きのブンデス首位クラブで充実… 原口元気「11人が1つの生き物のように」“W杯のために全力スプリント”を再び磨く意図とは
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byLars Baron/Getty Images
posted2022/09/27 11:15
アメリカ戦での原口元気。ロシアW杯から4年、彼の進化をカタールの地で見ることはできるか
「たぶん、監督自身に迷いがないからじゃないかな。『この選択をしたら、こういう欠点がある。あの選択をしたら、ああいう欠点がある』というような状況でも、最終的にはうちのチームが何を大事にすべきかを決断できる。(週に1試合ペース時の4日間の練習日のうち)3日間で、確実にやるべきことをできるようにしてくれる。何なら、そこのミーティングでやったことをピッチの上でもやるみたいな。そして、誰かミスすると、そこで指摘して、直していく」
原口が実感をこめて語るように、監督がしっかりと優先順位をつけて指示を出せているのがポイントだ。
例えば、ハイプレスにいけば、高い位置でボールを奪える可能性がある。一方で、そのプレスを破られれば、一気にゴール前まで運ばれるリスクを抱える。逆にDFラインを低く設定すれば、相手にスペースを与えないメリットがあるが、自陣ゴール近くでのプレーを許すことになる。1つのアクシデントが失点につながるリスクもあるし、自分たちが主導権を握る可能性が下がる。
その前提のうえで、選手たちの顔触れや対戦相手との力関係を考え、どのように戦うのかを決めるのが監督の義務であり、仕事なのだ。
良いときは11人が1つの生き物のように動くと言うか
ウニオンは今シーズンの第4節シャルケとのアウェーゲームで6対1の大勝を飾ったのだが、後半開始時のキックオフでも印象的なシーンがあった。キックオフ時に左サイドのハーフウェイライン上に4人が並び、キックオフ時にセンターバックにボールが戻った時点で彼らが一斉にゴール前になだれ込んだのだ。
このときはいち早く反応したシャルケの吉田麻也によって一度はクリアされたものの、その直後にボールを拾い、ベッカーがゴールを決めた。昨シーズンのCLなどから散見されるようになった、「キックオフのセットプレー化」だ。
これもまた、ウニオンの準備のたまものだった。
「うちが良いときは11人が1つの生き物のように動くというか、どこからも相手に攻撃をやらせないという感覚になる。あれって結構すごいなと思うんだよね。もちろん、守備だけではなくて、攻撃でもね」
そう言って胸を張る原口は、最高の環境の下で今もなお、試行錯誤を続けている。