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「引退する姿が想像できない」武藤敬司が見せた“永遠のプロレスラー”という甘美な幻想…「ゴールのないマラソン」発言の真意とは?
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原壮史Masashi Hara
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posted2022/06/22 11:03
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6月12日、武藤敬司はさいたまスーパーアリーナのリング上で「来年の春までには引退します」と発表。長年酷使した肉体は限界を迎えていた
武藤が引退を発表した同日のメインイベントでGHCヘビー級王座を獲得した小島聡も、その縁に加わった1人だ。武藤と共に新日本から全日本に移籍した小島は、「武藤の存在」をNOAHへの参戦を決断した理由のひとつにあげていた。
また、小島は2004年7月18日に、三沢との一騎打ちも経験している。これは先のNOAH東京ドーム大会で対戦を直談判したものだ。エメラルドフロウジョンをキックアウトした小島はタイガードライバー’91に敗れたが、試合後には「(ダメージが大きすぎて覚えていないけれど)体は凄く感動してる」というコメントを残した。この試合が無ければ、その後の史上初のIWGPヘビー級・三冠ヘビー級ダブルタイトルマッチでの勝利も、武藤の引退発表の同日に達成したグランドスラムも無かったかもしれない。
この日の試合では小島がシャイニングウィザードを、潮崎豪がエメラルドフロウジョンを繰り出した。一度生まれた夢や縁は、形を変えながら未来へと続いて行く。それはプロレスを見続ける面白さでもある。
武藤敬司は最後にどんな夢を見せるのか
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6月17日には、7月16日の日本武道館大会で清宮海斗とシングルマッチが行われることが発表された。膝を人工関節にする手術を受けてから初めてシングルを戦った相手であり、共に新日本との対抗戦を戦った間柄でもある。
以降については日程だけの発表でカードは未定(※引退試合は場所も日時も未定)。武藤自身が「まだ数試合増えると思う」と楽しみにしており、ファンは最後まで夢のカードを想像することになりそうだ。NOAHの所属選手以外でも、棚橋弘至、SANADAら縁のある選手との再会や、防衛を続ければ小島とのGHCヘビー級選手権も……など、候補はいくらでもある。
武藤ならば、どんな夢でも現実にしてくれる。走り続けた“プロレスリング・マスター”は、様々な夢を託され、縁を引き寄せ、そして広げてきた。果たして、不世出の天才プロレスラーはどんな引退ロードを歩むのだろうか。ひとつだけ確かなことがあるとすれば、武藤はマラソンのゴールに向かって驀進する、ということだ。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。
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