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フィギュアスケートPRESSBACK NUMBER
摂食障害、2度の五輪…鈴木明子36歳が語る“遅咲きのスケーターと呼ばれた現役時代”「『自分を大切にする』と『競技性』は相性が悪い」
posted2022/02/15 11:03
text by
小泉なつみNatsumi Koizumi
photograph by
Atsushi Hashimoto
「すべれな~い♡」と言う女の子になってほしくない
――今日は大雪の中ありがとうございます。寒いのは慣れっこですか。
鈴木明子氏(以降、鈴木) 30年氷の上にいても、寒いのには慣れないですね。勘違いされやすいんですけど、冬も好きなわけじゃなくて(笑)。
――そんな冷たい氷の上にはじめて立とうと思ったきっかけは?
鈴木 6歳の時、近所のスケート教室に母親が連れて行ってくれたのが最初です。といっても水泳、書道、絵画、ピアノと、たくさん掛け持ちしていた習い事の中のひとつでしかなくて、まさかそれが職業になるとは母も私も思ってもみなかったです。
――小学生から過密スケジュールだったんですね。
鈴木 母としては何かでプロになってほしいというより、「選択肢」を増やしてあげたいという気持ちだったみたいです。
あとはデートでスケートに行った時、「すべれな~い♡」みたいに男の子にくっつく女の子になってほしくなかったらしい(笑)。
――まさに「自立」してほしかったと。
鈴木 わりと今の世の中にフィットした考え方ですよね(笑)。
でも今フィギュアをはじめる子は、私みたいにふんわり「習い事で~」じゃなく、最初からめちゃくちゃ志が高いんです。
――はなからバリバリに競技性を意識していると。
鈴木 私が小さい頃は全日本選手権ですらまともにテレビ放送されていませんでした。フィギュアスケートという競技の仕組みをなにもわかっていないままはじめて、そのうちテストがあって、試合があって、県大会の後にブロック大会があって……みたいに、滑りながら知っていくような感じだったんです。
それに比べて今は、日本選手が当たり前のように世界で活躍している姿があらゆるメディアで報じられている。知識も意識も大きく変わったなと感じます。
“遅咲きのスケーター”と呼ばれて
――鈴木さんといえば、27歳で世界選手権表彰台(3位)、28歳で全日本選手権初優勝という2つの「最年長」記録を打ち立てられ、「遅咲きのスケーター」「大器晩成型選手」としてメディアでも大きく報じられました。このような報道を、当時どのように感じていましたか。