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「チームを掌握している」「自信の再構築に成功した」トルシエが高く評価したサウジ戦の森保采配のポイント 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byTakuya Kaneko/JMPA

posted2022/02/05 17:03

「チームを掌握している」「自信の再構築に成功した」トルシエが高く評価したサウジ戦の森保采配のポイント<Number Web> photograph by Takuya Kaneko/JMPA

「まだ選手を導くための重さが足りない」と言いつつも、中国戦とサウジ戦での森保監督の采配をトルシエは高く評価した

――この2試合と同じ戦略・同じ戦術でいいということですか?

「守備のブロックについては、もう少し低い位置に敷くことになるだろう。あまり高い位置からプレスをかける必要はない。ゲームを支配し、攻撃を仕掛けざるを得ないオーストラリアを待って、今日よりも少し低くブロックを構える。カウンターアタックの余地も生まれて、ホームゲームよりも戦いやすくなる。アウェーゲームは日本にとってアドバンテージだ。オーストラリアが必然的に攻撃的になるからで、勝ち点1で十分な日本は一か八かの勝負に出る必要はない。相手にボールを持たれたら、まず中盤でプレスをかけるのはもちろんだが、そこを突破されたら低くブロックを構えて相手の攻撃を待ちカウンターアタックを仕掛ける。それが最良の戦い方だ」

リアリストかと問われれば……彼は現実主義の日本人である

――あなたは中国戦の後でリアリズムの勝利だと言いましたが、森保監督は監督としてリアリストだと思いますか?

「(しばし沈黙)、彼は夢想家ではない。1+1が2になると冷静に計算できる監督だ。選手が一体となって働くことが大事であることをよくわかっている。選手に自分たちで考えてプレーする自由と責任を与え、選手を信頼している。海外の経験が豊富な選手を多く抱えながら、チームをよく掌握していると思う。

 リアリストかと問われれば……彼は現実主義の日本人であるといえる。日本人のメンタリティは現実主義的だ。日本はその点で合理的だ。彼は自分の船をうまく航行させている。選手からも尊敬され、選手に然るべき位置を与えている。

 今はまだ選手を導くための重さが少し足りないかも知れない。ときにチームには選手を目覚めさせ、刺激を与えるガイドが必要だが、それは彼の性格ではない。ただ、すべてがうまくいっているときは、選手に寄り添うこともまた必要だ。今の日本はすべてが順調になり、彼は自分のポジションを再び見出した。チームは自信を取り戻し、森保は自信の再構築に成功した。

 誰もが満足しているのだろう?」

――もちろんです。サウジ相手に勝利を得られたのですから。

「2対0で、サウジに決定機を作らせなかった。終了直前の浅野(拓磨)のシュートをはじめ、さらに点を取っていてもおかしくなかった。日本はあらゆる場面で存在感を見せつけた。素晴らしい勝利だった」

――メルシー、フィリップ。

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