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ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
「チームを掌握している」「自信の再構築に成功した」トルシエが高く評価したサウジ戦の森保采配のポイント
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byTakuya Kaneko/JMPA
posted2022/02/05 17:03
「まだ選手を導くための重さが足りない」と言いつつも、中国戦とサウジ戦での森保監督の采配をトルシエは高く評価した
ただ、もしサウジが自分たちのプレーをすれば、彼らは日本を上回るだろう。とても危険だ。時差や移動の影響は明らかだし、気候の変化も響いただろう。とはいえサウジにとって初めての敗北で、彼らはそれでもグループ首位を保っている。最後に難しい試合が残っているが、オーストラリアをホームに迎えて戦える。安定したチームであるのは間違いない。サウジには安定感を感じる。日本が勝つには今日のような戦い方しかない。100%の集中力を発揮した戦いだ。サウジにはまだ少し余力がある。持てる力のすべてを出し尽くさず、少しの保障を残しての戦いだったように思う」
――この2試合は2連勝で目的を達成できましたが、次のオーストラリア戦もまた大一番です。アウェーであるうえに、準備の時間がない2連戦の緒戦は常に厳しい戦いを強いられます。
「試合は3月か?」
――およそ2カ月後です。
「オーストラリアがホームで勝つのも簡単ではない。彼らにも極度の重圧がかかり、もしも負ければ……。日本は負けなければいい。オーストラリアの最終戦はサウジアラビアに行ってのアウェーゲームだ」
――日本はホームのベトナム戦です。
「サウジは現状でオーストラリアに2勝ち点差をつけているのだろう」
――オーストラリアが今晩勝てば2差です(実際にはオマーンと引き分けたためサウジとは4点差、日本とは3点差となった)。
「最後まで僅差の戦いが続くわけだ。だからこそオーストラリア戦は絶対に負けてはならない。負ければあらゆることが起こりうるわけで、状況がとても複雑になる」
相手を走らせ、ボールを自由に持たせないチーム
――森保監督のコレクティブな守備に重きを置き、素早い攻撃を仕掛けていく戦い方は、アウェーで最低限勝ち点1を獲得するために有効だと思いますか?
「日本は守りのチームでも攻撃的なチームでもない。相手を走らせるチームであり、相手にボールを自由に持たせないチームだ。日本はそうした自分たちの資質を生かした戦いをすべきだ。つまりボールを保持してゲームをコントロールするのが不可欠だ。簡単にボールを失ってはならない。
絶対に勝利が必要なオーストラリアは、攻撃的な戦いを強いられる。日本には簡単にボールを失わないクオリティがある。素早いボール回しで支配してゲームをコントロールできる技術がある。簡単にボールを奪われないためのあらゆる要素を備えている。最良の守備はボールを失わないことであり、オーストラリアにボールを奪い返されないことだ。それが日本のクオリティだ。日本にはオーストラリアにボールを支配されないコレクティブな能力がある。その能力で日本は勝ち点1を奪えるだろう。守って勝ち点を得るのではない。日本は守備のチームではない。相手にボールを持たせないのが日本の最大の強さだ」