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「右打ちの大谷翔平クラスの逸材なのか…」小6が“軟球で”神宮球場レフトスタンドの衝撃ホームラン 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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posted2022/01/12 17:04

「右打ちの大谷翔平クラスの逸材なのか…」小6が“軟球で”神宮球場レフトスタンドの衝撃ホームラン<Number Web> photograph by AFLO

小6が“軟球で”神宮球場レフトスタンドの衝撃ホームラン…『12球団ジュニアトーナメント』は12月28~30日に神宮球場と横浜スタジアムで行われた

 中日ドラゴンズジュニアと楽天イーグルスジュニアの決勝戦では、なんと11本のアーチが神宮球場の仮設フェンスを超えていったのだから、今回のトーナメントに出場した小学6年生バットマンたちの強打ぶりは、驚愕すべきものだった。

 大会前から評判の高かった読売ジャイアンツジュニア・入江諒太一塁手(右投右打)の雄大な放物線がセンター右のフェンスをはるかに越えていったのを見たのが、私の「最初の1本」だった。

 170cm80kg……小6でこのサイズなら、たとえば6年後の高校3年で、平均的成長でも185cm90kg前後か。力量より、少年らしい柔軟な連動性のほうが目に新鮮な伸びやかスイング。入江選手、この大会3試合で満塁弾を含む3本塁打をマークした。

 少年球児にありがちな、体をねじって反動つけて……のエイヤー!がない。

 タイミングの始動を早めにとって、間(ま)を作ってボールを捉えれば、勝手にフルスイングになる。そういうバッティングの基本の基本のところを、しっかり踏まえているのは、決してこの入江選手だけじゃない。

 ソフトバンクホークスジュニア・島尻琳正捕手(161cm54kg・右投両打)

 ちょっと力任せになった強引な空振りの次のボールでスイングをきれいに修正。見事な軸回転で振り抜いて、仮設フェンスを飛び越え、球場レフトフェンス直撃のライナー弾だ。右中間仮設フェンスを、高々と飛び越えた大アーチを含めて、3試合で4本塁打の長打力を見せつけた。

 その抜群の瞬発力を、二塁送球にも発揮した島尻捕手。力み過ぎて球道がブレることもあるが、そこは小学生らしい粗っぽさ。しっかり指にかかった時の、定規で直線を引いたような「猛肩」には目をむく。野球に大切なのは何か……その優先順位が徐々にわかってくれば、丁寧さも出てくるはず。その時の精度を増した強肩ぶりが、今から楽しみで仕方ない。

小6が軟球でレフト中段の“衝撃ホームラン”

 打線なら、中日ドラゴンズジュニアが抜けている……と、大会前から聞いていた。

 現実は、想像をはるかに超えていた。

 初日の日本ハムファイターズジュニア戦で、いきなり7ホーマー14得点。1人で3本放り込んだ選手もいると聞いて、どんな大型打線かと思ったら、そんなに大きな選手が並んでいるわけじゃない。

 その代わり、「打ち方」が素晴らしい。   

 両肩のラインが投手に正対して、やはりタイミングがしっかりとれている。追い込まれてからも、外に逃げるボールを追いかけることがなく、頭を動かさず、自分のポイントで振り抜いていく。切るような打ち方は誰もしない。後ろから前にスイング軌道を作りながら、後ろのヒジが体の真ん中にグイッと入ってくる。

【次ページ】 小6が軟球でレフト中段の“衝撃ホームラン”

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