マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「右打ちの大谷翔平クラスの逸材なのか…」小6が“軟球で”神宮球場レフトスタンドの衝撃ホームラン
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byAFLO
posted2022/01/12 17:04
小6が“軟球で”神宮球場レフトスタンドの衝撃ホームラン…『12球団ジュニアトーナメント』は12月28~30日に神宮球場と横浜スタジアムで行われた
振ればしっかり振り抜くし、走れば、両腕、両足に90°の角度を作って、全力疾走で快足を見せてくれる。
横浜DeNAジュニアの試合、終始、神宮球場に響き渡っていたのが、大靏選手の「大声」だった。
いつも声を張って、チームと自身を鼓舞しながら、投球が右打者の外寄りなら、スッと遊撃手寄りに2歩動き、内角と見れば、逆に三塁線寄りにスッと動く。三塁ゴロはワンバウンドかと思うと、当たり前のようにダイレクトスローだ。相手にホームランを打たれ、他の選手が茫然としている中で、打った選手が三塁ベースを踏むかどうかを、しっかり見ている。
小柄な体を目一杯躍らせて、すごくいい野球をしている。
何より、一生懸命だ。
目の前の一瞬、一瞬に持てる能力のすべてを発揮して立ち向かう姿が、見ている者の胸を打つ。立派な「野球人」だ。
高校生とか、大学生に見てもらいたいな……と思った。連日連夜の練習、実戦に疲れて悩んでいる選手たちにとっても「ああ、こう打てばいいのか」「ああ、こう動けばいいのか」……と目からウロコではないか。
見る前は、もっと大人気取りの、マネ上手な野球なのかと思っていた。たいへんな誤解だった。
幼い時期に、わかっている人にきちんと教わることの大切さを痛く感じると共に、たとえば休日の学校のグラウンドなど、一般的な場もそうあってほしいと痛感する。
私自身の「野球」も、すっきり、さっぱり、クリーニングできたように思う。
1年のいちばん最後の野球の現場で、思いがけない大きな驚きと感動をもらって、それが「2022年」に向かう強烈なエネルギーになったように感じながら、新たな年を迎えることができた。