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《箱根駅伝で準優勝》順大エース三浦龍司はなぜ“花の2区”配置になってしまったのか?「もう2区に行かせるしかないなと」
posted2022/01/05 17:03
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Yuki Suenaga
見事なまくりだった。
今回の箱根駅伝、順天堂大学が1区18位から怒涛の巻き返しを見せて総合2位。2007年総合優勝以来の好成績を収め、伝統校復活を印象付けた。
「早さよりも強さを求めてきた。結果が出たので、選手がそれを体現してくれたと思います」
長門俊介監督は、そういって笑みを浮かべた。
当日の衝撃 三浦龍司が1区ではなくて2区?
スタートは、大胆な策が裏目に出たように見えた。
1区はスピード勝負になる可能性があり、そこで出遅れるわけにはいかない。そのため、オリンピアンの三浦龍司(2年)がその役を担うと思われていた。
だが、蓋を開けると三浦ではなく、平駿介(3年)が登場した。
しかも、2区に三浦を配置したのだ。1区ではなく、他区間で三浦のスピードを活かすのであれば平地区間がつづく3区かと思われたが、エース区間のタフな2区だった。
長門監督は、ここでひとつの勝負に出たのだが、その背景には当然だが裏があった。エース野村優作(3年)の調子だった。
「もう(三浦を)2区に行かせるしかないなって」
「野村は、12月に入ってもなかなか状態が上がってこなかった。その時、三浦の状態がよかったので、もう2区に行かせるしかないなって思いました。ただ、野村も直前になって調子が上がってきた。彼の力から区間賞争いを課題に出していたんですけど、ちょっと駅伝に対して苦手意識を持ってしまっているのか、心の部分かなっていうのは少し気になりました」
当初は、前回大会で2区を走った野村を今回も2区で予定していた。
野村は、出雲駅伝は3区16位だったが、全日本大学駅伝では5区2位と調子を取り戻していた。箱根駅伝については「2区を走りたい。前回はオーバーペースで入ったのとラスト3キロで足が痙攣して失敗したので今回は落ち着いて走り、区間一桁を目指したい」と並々ならぬ意欲を見せていた。しかし、最終的にタフな2区を走るまでに状態が至らなかった。その結果、2区の裏返しである9区への起用となり、2区には大エースの三浦が入った。三浦はそのオーダーに戸惑いを見せたようだが、指揮官の要請を受けて出走、区間11位と無難にまとめた。