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《箱根駅伝で準優勝》順大エース三浦龍司はなぜ“花の2区”配置になってしまったのか?「もう2区に行かせるしかないなと」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2022/01/05 17:03
順天堂大学の大エース・三浦龍司。そのスピードを活かす形で「1区」での起用を予想されていたが、実際はまさかの「花の2区」出走となった
この2区三浦が結果的に功を奏することになる。1区の大けがを三浦が止血して、なんとか持ちこたえたことが3区、伊豫田達弥(3年)の区間3位の走りに繋がった。さらに4区石井一希(2年)も区間2位の走りで7位に順位を押し上げ、終わりかけたレースを整えてきたのである。
往路の夜に「早めに勝負を決める」配置変更を決意
ここで長門監督は、さらに手を打つ。
往路が終わり、トップを独走する青学大以外の状況を見ると混戦状態だった。上位にもシード権争いにも転ぶ可能性があるため、その日の夜に配置変更を決意した。アンカー予定だった西澤侑真(3年)を7区に置き、10区に近藤亮太(4年)を入れたのだ。
「最初は7区に吉岡智輝(4年)を予定していたんです。ただ、かなり混戦でしたし、吉岡は怪我明けなのが不安要素だったので、早めに勝負を決めようということで7区に西澤、10区に近藤を入れることを決めました」
いきなり10区を走ることになった近藤は全日本7区9位という結果を残していたが、さすがに昨日の今日では心の準備が整わない。長門監督は、何度も近藤に連絡し、メンタルトレーナーの力を借りながら落ち着いて走れるようにケアしたという。
そして、復路の当日を迎えた。
「追い上げムードが往路終了時点で出来あがっていた。6区の牧瀬と話をしたら舞台は整ったし、この状況を楽しみますというキャプテンでいたので、これはと思いましたね」
6区の牧瀬圭斗(4年)が反撃の狼煙を上げ、区間賞を獲る走りで7区の西澤に繋いだ。さらに8区の津田将希(4年)が牧瀬につづく区間賞の走りで、順位を2位にまで押し上げた。
「牧瀬がいい走りをしてくれて、そこで勢いがつきました。4年間一緒にやってきた津田も牧瀬がやれるのであればと頑張った。もちろん自信をもって送り出したんですけど、7区スタート時点で芽吹君(鈴木・駒大2年)が一緒だったのでプレッシャーにならないか心配だったんです。でも、堂々と走り、彼の力を借りながら区間賞の走りができたのかなと思います」
「誰を走らせても変わらない」から「最高の金太郎飴」に
復路で牧瀬、津田、近藤ら4年生が活躍し、総合2位という成績を勝ち取った。
「僕は彼らの世代を金太郎飴ってよく言っていたんですけど、最高の金太郎飴になってくれました」
長門監督は、そういって表情を崩した。