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箱根駅伝「強豪校こそ区間配置が難しい?」「往路優勝が総合優勝には必要」青学、駒澤…有力校の戦力を徹底分析する 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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posted2021/12/26 11:03

箱根駅伝「強豪校こそ区間配置が難しい?」「往路優勝が総合優勝には必要」青学、駒澤…有力校の戦力を徹底分析する<Number Web> photograph by AFLO

来年1月2、3に開催予定の箱根駅伝。98回大会の総合優勝はどの大学が掴み取るのか

 選手層という幹が太く、チームは頑強だが、不安は鈴木の状態とその影響が及ぶ区間配置だ。

 鈴木は、疲労骨折のため、出雲、全日本を回避。「だいぶよくなっている」と会見では述べていたが、ホクレン網走大会で5000mの駒大記録(13分27秒83)を達成した状態に戻すのは難しい。鈴木の状態に不安を抱いているのは、大八木弘明監督の表情からも伺えた。監督の表情はチームの状況を映す鏡だが、箱根駅伝の会見では全日本の時と同様に「連覇ができればいいですけど……」と、ちょっと自信なさ気で、ギラついた闘気が感じられなかった。

「往路を制することが総合優勝に必要」

 レース展開については、「往路を制することが総合優勝に必要」と語っていたが、そのためには3本柱を往路につぎ込みたいところ。だが、鈴木が100%ではないこと、唐澤のロードの適性を考えると、復路に回る可能性もゼロではない。そうなると区間配置がより難しくなる。また、山も激坂最速王決定戦で4位に入った大坪幸太(3年)が候補の一人だがその実力は未知数だ。

 ただ、チームには絶対的な大エースがいる。2区に田澤がいることで、選手の安心感は全然違う。田澤は出雲ではアンカーで東京国際大と大差をつけられていたが必死に前を追い、オールアウトして終えた。しばらく体育座りのまま動けなくなるほど力を出し尽くしたが、こういう姿勢を貫く主将がいるチームは単純に強い。

 各区間で、すべてのピースがハマるとどこも太刀打ちできないが、果たして2連覇を達成できるか。

青学大)“総合力No.1”だからこそ難しい区間配置

 青学大は、総合力ではトップクラスだろう。出雲2位、全日本2位と優勝こそないが安定しており、箱根駅伝のエントリー16名全員が10000m28分台の分厚い選手層は出場校随一だ。

 エースには今シーズン、安定した結果を出し続けている近藤幸太郎(3年)がいる。全日本7区では田澤と「よーいどん」のスタートになり、最終的に18秒しか離されなかった。地力がついてきていることを証明し、彼自身も自信を深めただろう。また、1年時に大ブレイクした岸本大紀(3年)が故障から2年ぶりに駅伝に戻り、全日本3区3位と復活を印象付けた。「駅伝男」の佐藤一世(2年)は出雲3区3位、全日本5区1位と好調だ。また、箱根駅伝の選考レースである世田谷ハーフで田中悠登(1年)が優勝し、チームに活気をもたらしている。

 山も5区に飯田貴之(4年)、6区に高橋勇輝(4年)と信頼する4年生が座し、万全だ。全日本は大きなミスが2区間で起こったがその修正力はさすがで、最終的に駒澤大とトップを争う展開にまで戻した。全員が28分台ゆえに正直、誰が走っても遜色ない結果を出すだろう。だが、それゆえにバリエーションが多すぎて、選手のカラーを活かす適正な区間配置が難しくなる。全日本で原晋監督は「私のミスで負けた」と語ったが、それこそ選考と配置における監督の迷いを証明するものだった。

 指揮官が、いかに選手のコンディションを見抜き、適材適所を実行できるか。1区の配置など難しい区間があるが、適材適所がハマれば往路が混戦になっても復路で28分台の選手が躍動し、ひっくり返す展開に持ち込むことができるだろう。

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