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落合博満と中日が受けた「あり得ない扱い」… それでも「いま落合監督に勝る監督はいない」と長嶋茂雄や江夏豊が称えたワケ
posted2021/12/13 17:30
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Naoya Sanuki
<名言1>
これが正力松太郎さんの目指した野球界か聞いてみたい。
(落合博満/Number741号 2009年11月12日発売)
◇解説◇
2007年、落合は伝説の「山井大介-岩瀬仁紀」の“27人完全試合リレー”で中日ドラゴンズを53年ぶりの日本一に導いた。名将としての評価をゆるぎないものにした……が、それ以降はメディアとの溝が深刻化していった。その象徴的な出来事として、2009年のWBCがある。
第1回に続く連覇を目指した侍ジャパンに対して、中日の選手たちは出場辞退を選んだ。すると「球団サイドが選手にストップをかけた」などというウラ話も漏れ聞こえ、落合を含めて大バッシングにあったのだ。
そしてこのシーズン、中日は優勝を逃し、CSでも侍ジャパンの監督も務めた原辰徳の巨人に敗れ去った。冒頭の言葉はCS第2ステージの試合後の発言だ。このようにも話している。
「2009年は負けて終わったけど、思いがけない“風”が一年間吹きっぱなしだったというのが現実だな。契約社会なのに、ときには会社員のような本来あり得ない扱いが存在する」
一敗地に塗れるシーズンを経て、落合中日はさらなるしぶとさを手に入れる。10、11年とリーグ連覇を果たしたのだった。
三度の三冠王なのに野球殿堂に2回“落選”
<名言2>
監督の持つ権限を冷徹に行使するという点では、いま落合監督に勝る監督はいないかもしれない。
(長嶋茂雄/NumberWeb 2011年1月26日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/82647
◇解説◇
日本球界に多大な影響を与えた人物に対しての表彰、野球殿堂入り。落合が受賞したのは2011年1月のことだった。三度の三冠王など打者として圧倒的な成績を残していながら、09、10年と2年連続で1票届かず落選していたのは今考えても不思議なのだが……。
「私はユニホームを着ている間は、この賞とは無縁だろうと思っていました。ユニホームを脱いでから、いつかもらえればいいなと思っていた」と語りつつ、「どうせなら3年連続1票差で落選した方が面白かったんじゃないか」と“オレ流”らしい語録も残している。
ミスターが「非情な監督」と驚いた手腕
選手としてだけにとどまらず、指揮官として残した実績も加味されていたのだろう。2010年の優勝で、落合中日は通算3度目のリーグ制覇を達成。なおかつ07年には2位からのCS突破とはいえ、日本一にも輝いているからだ。
その能力を、ミスターこと長嶋茂雄も驚きを隠せなかったようだ。