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「当時から三笘と旗手はずば抜けていました」上田綺世にとっての“代表”と控えめな自己評価のワケ「僕は井の中の蛙でしかない」 

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寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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posted2021/12/09 17:04

「当時から三笘と旗手はずば抜けていました」上田綺世にとっての“代表”と控えめな自己評価のワケ「僕は井の中の蛙でしかない」<Number Web> photograph by Getty Images

第33節のFC東京戦で決勝ゴールをあげた上田綺世。日本代表ではチームメイトとなる長友佑都と激しく火花を散らした

毎試合ゴールを決める“理想のFW”に近づくために

 鹿島では「点を獲るだけがFWの仕事ではない」という文化がある。

「鹿島のFWはそう言われるけれど、でも、点を獲ることが一番の貢献だと思うんです。今季鹿島は62点(リーグ総得点)しか獲れていない。川崎や横浜F・マリノスに比べたら、20点くらい少ないんです。もしかしたら優勝するには僕が25点獲らないといけないかもしれない。それを求められるなら、そこへトライしていく必要があると思います」

 そんなものは持っていない、と言われるかもしれないが、上田のキャリアデザインについて訊いてみた。

「野望というか、ぼんやりとした理想はあります。FWの本質、理想のFW像っていうのは、どんな環境、どんな状況でも必ず点を獲れるということ。毎試合ゴールを決める選手は、ある意味“兵器”だと思うんです。90分間で1点確定なら、それ以上に優れたFWはいない。良いDFを揃えて守りきれば勝てるわけですから。サッカーゲームみたいな感覚ですが、それが僕の理想です。

 FWは点が獲れれば、年齢に関係なく価値の落ちないポジションだと思います。クリスティアーノ・ロナウドだって36歳ですけど、今も世界で一番点を獲っているといっても過言じゃない。彼は僕が言った理想に一番近い選手ですね。どのリーグへ行ってもコンスタントに点を獲っている。どんなに警戒されても、1試合に1点くらいは獲っているじゃないですか。それを考えたらJリーグで10数点獲ってすごいと言われているのは、本当に井の中の蛙でしかない」

 欧州の五大リーグで得点を穫り続ける選手に比べれば、アジアの国内リーグでの二桁得点で喜んではいられない。そういう現状認識、危機感が上田にはあるのだろう。自身の野望を叶えるには、まだ力が足りない。理想を現実化するために、彼はまた考え続けている。思考することで成長できるという確信があるから、彼には迷いはないようだ。

「プレースタイル以外では、吸収力と柔軟性、環境に順応する力と、そこで得たものを身につける力というのは、自分にとっての武器だと思っています。カテゴリーの上下動が激しいスポーツの環境では大事な能力だと感じています」

 鹿島に在籍した2年半。監督が3人代わり、チームメイトの顔ぶれにも変化がある。それでも上田の成長曲線は停滞することなく、右肩上がりと言ってもいい。今後、もし停滞期があったとしても、心配する必要はないだろう。苦闘こそが、考える力を磨くのだから。

#1から読む「練習が中止になればいいのに」サッカー嫌いの少年を魅了した“ゴールの快感” 上田綺世が考え続けた「得点のための論理」とは

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