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ヤクルト関係者「村上は“タメ口”のタイミングが絶妙なんです」高校恩師も語った村上宗隆(21歳)、“上下関係なし”野球部での原点
posted2021/12/05 11:01
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Sankei Shimbun
セ・リーグは東京ヤクルトスワローズがペナントレースの覇者となり、一方のパ・リーグは、オリックス・バファローズが覇者となり、「去年はどっちもペケだったんだよな~」と不思議な気持ちになりながら、日本シリーズをテレビ観戦していた。
最下位といったって、ただの最下位じゃなかった。
5位とのゲーム差で、ヤクルトが12ゲーム、オリックスが7ゲーム。
去年は首位からどれぐらい離されていたのか……と言えば、ヤクルトは首位・巨人に25ゲーム離され、オリックスだってソフトバンクに27ゲーム差だった。
シリーズは6戦を闘ったのだから、共に実力の拮抗した強いチームに変貌したのだろう。両チームの選手、指導陣、関係者の方々の懸命な骨折りに、心から敬意を表したい。
実は幼い頃から、つい10年ほど前まで、敬虔なヤクルトファンだった。
こういう仕事になってから、徐々に「ごひいき意識」が薄らいできたとはいうものの、以前は「ヤクルト」の勝ち負けを自分のこと以上に心配していた身として、日本一はとても嬉しい。
なんといったって、あの「金田正一」の国鉄スワローズ時代からの筋金入りのファンなのだから。国鉄関係の会社に勤めていた父親が野球ファンで、たまに連れて行ってくれたのが、金田正一投手の国鉄スワローズの後楽園球場か、ジャクソン、ロバーツのサンケイアトムズの神宮球場だった。
松岡弘、若松勉、杉浦亨のヤクルトスワローズの神宮球場には、もう1人で観に行っていた。
いちばん泣いていたのは村上宗隆のように見えた
11月27日、ようやくヤクルトが「4勝目」を勝ち取った夜、選手たちがみんな泣いているのを見て、こっちも泣けて仕方なかった。
1対1で、延長にもつれ込んだこの試合。
昔から、もつれると弱いヤクルトを見慣れてしまっていたので、もう「ヤクルトの流れ」じゃないな……と勝手に決めつけていた。
決勝打を放った川端慎吾が泣いている。椎間板ヘルニアの2度の手術を乗り越えての「日本一」だ。そりゃあ、嬉しいだろう。
シリーズMVPに輝いた女房役・中村悠平が泣いている。