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「立浪イズム」を考える――新監督の所信表明で思い出される星野仙一と“あの名将”〈20年前に中日で起きた“ベンツ論争”とは?〉

posted2021/11/01 17:03

 
「立浪イズム」を考える――新監督の所信表明で思い出される星野仙一と“あの名将”〈20年前に中日で起きた“ベンツ論争”とは?〉<Number Web> photograph by KYODO

10月29日、立浪和義の新監督就任が発表された。所信表明から浮かんだ“立浪イズム”を考えてみたい

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小西斗真

小西斗真Toma Konishi

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 10月29日に中日ドラゴンズは記者会見を開き、立浪和義新監督の就任を発表した。大島宇一郎オーナーにとっては、初めての監督選出だった。会見には同オーナーも出席。「勝負強いチームになっていくことを願います」と話したが、やはり気になるのは新監督自身の野球観であり、所信表明だ。そこで就任会見での言葉から、立浪氏が目指す野球や理想の監督像をひもといていきたい。

真っ先に浮かぶのは「星野スタイル」

「星野(仙一)監督から始まり、高木(守道)監督、山田(久志)監督、落合(博満)監督と素晴らしい指導者のもとでプレーさせていただきました。たくさんいいところを見てきたので、教訓にするというか、頭に入れて指導したい。理想の監督像は思い浮かばないです」

 会見ではこう話した新監督。ちなみに入団した1988年は昭和最後のシーズン。2009年の現役引退後も含めた平成以降では、このコメントにある4人以外にも谷繁元信、森繁和、与田剛、そして立浪と監督経験者は計8人に及ぶが、名古屋市に本宅を構えているのは星野、高木、立浪の3人。残り5人は首都圏や関西圏に自宅があり、在任中はホテルやマンションで暮らしていた。排他的、保守的とも言われる名古屋の土地柄だけに、久々の「市民監督」への期待値がどれほど高まっているか、容易に想像がつく。

 あえて理想像を掲げなかった新監督だが、誰もが思い浮かべるのが星野だろう。闘将と呼ばれた恩師への意識の強さは、会見からも伝わってきた。

「当時の星野監督は厳しくて、これだけ人は怒れるのかというくらい、怒られました。それが今も通用するとは思っていません」

 鉄拳が飛び交った時代とはもちろん違う。踏襲するわけがない。ちなみに、「言葉」で選手を束ねる術に長けた星野監督の就任第一声は、選手に向けた「覚悟しておけ」だった。

【次ページ】 20年前に起きた“ベンツ論争”とは?

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