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巨人“10連敗で大失速”のポイント、坂本勇人<阪神戦6-0からの交代>の真相とは? 原監督は「用兵のミス」と語ったが、実は…
posted2021/11/01 17:04
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Nanae Suzuki
シーズン終盤の大失速で、ギリギリ3位に滑り込んでクライマックスシリーズ(CS)への出場権を手にした巨人。まずはCSファーストステージで阪神を破ることが逆襲への最初の関門となるが、その戦いのカギを握るのは、やはりチームリーダー・坂本勇人内野手ではないかと思う。
思い出すのはチームの主砲・岡本和真内野手のこんな言葉である。
「チームには坂本さんとか丸さん(佳浩外野手)とか僕よりもっと凄いバッターが一杯いる。そういうバッターが試合で打てないと、このピッチャーは凄いのかなとか周りに与える影響が大きいんです」
主軸打者が相手投手を攻略する先頭に立たなければならないという話で、だから岡本自身も「そういうバッターでありたい」という意気込みを語ったわけだ。しかしこの言葉を改めて思い出す事態がシーズンの終盤にあった。
あのドロ沼の10連敗である。
4対3で勝ってきた試合を2対3で落としていた
とにかく打てなかった。
10月5日のヤクルト戦から1つの引き分けを挟んだ11試合のチーム打率は2割4厘。チーム総得点は23点で1試合平均でわずか2.09点でしかない。逆にこの間の総失点は46点。最後に大量8失点が2試合続いたが、それまでの9試合(1引き分けを含む)はわずか30失点で1試合平均で3.33点でしかない。やはり原因は打線であり、数字的にはこれまで4対3で勝ってきた試合を2対3で落としていた。
そこがこの連敗の1つの核心だったのである。
そしてその点が取れない原因も明確だった。
打線で元気だったのが1番の松原聖弥外野手ぐらいで、特に坂本、丸、岡本の主軸打者が揃ってスランプに陥り、いくら松原が出塁しても続くこの3人がチャンスでまったく打てなかった。
岡本の言葉が、まさに現実になった事態だったのである。