“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
《ドラフト採点》セ・リーグは森木&小園の“超高校級”を獲得した阪神とDeNAが「75点」、では低評価は?
text by
小関順二Junji Koseki
photograph bySankei Shimbun
posted2021/10/12 17:03
高校生ナンバーワンと評された小園健太はDeNAが交渉権を獲得。抽選を外した阪神は同じく“超高校級”と謳われる森木大智を指名した
中日ドラゴンズ 55点
チーム打率.239、本塁打69本はいずれも12球団中11位(11日現在)。この貧打を解消しようと1位アドゥ ブライト健太(上武大・外野手)、2位鵜飼航丞(駒澤大・外野手)を指名、下位でも4位味谷大誠(花咲徳栄高・捕手)、5位星野真生(豊橋中央高・内野手)、6位福元悠真(大阪商業大・外野手)と徹底的に野手を漁った。
ただ一方で、チーム内には根尾昂(18年1位)、石川昂弥(19年1位)、さらに岡林勇希、土田龍空など成長株が目白押し状態なので、ここまで野手、それも即戦力候補を指名することはなかったように感じる。一、二軍の指揮系統と、スカウティングの意思の疎通が十分でない印象を世間に見せてしまった。
ブライトと鵜飼は大学生野手であるものの、どちらかといえば将来性を期待しての指名で、ともに1年目から一軍で活躍する完成度は備えていない。順序としては、まずは在籍する根尾、石川、岡林のレギュラー定着を実現してほしい。彼らが一軍の中軸に揃えば、現在の“貧打”という評価は一瞬にして“恐竜”にすり替わるだろう。
《指名一覧》
1位 アドゥ ブライト 健太・外野手(上武大)右右
2位 鵜飼 航丞・外野手(駒澤大)右右
3位 石森 大誠・投手(火の国サラマンダーズ)左左
4位 味谷 大誠・捕手(花咲徳栄高)右左
5位 星野 真生・内野手(豊橋中央高)右右
6位 福元 悠真・外野手(大商大)右右
“呪縛”を解き放ったDeNA
横浜DeNAベイスターズ 75点
セ・リーグでは、阪神と並んで最高得点にした。
これまでのDeNAは山崎康晃(14年)、今永昇太(15年)、濱口遥大(16年)、東克樹(17年)、上茶谷大河(18年)、入江大生(20年)を見てわかるように、ドラフト1位で大学生投手ばかり指名してきた。それも今永、濱口、東は大学生左腕だ。強力左腕を揃えることがチームを強くする特効薬と信じた結果だが、チームはそれほど劇的に変わらなかった。
今回の1位の小園健太(市和歌山高・投手)は「大学生」「左腕」という呪縛を解き放った指名であり、さらに球界内外の評価は高校生ナンバーワンで通っているだけに来年以降のドラフトも楽しみになった。
小園以外では2位徳山壮磨(早稲田大)、4位三浦銀二(法政大)は評価が難しいところ。下級生のときからチームの中心で投げていた実績は一級品でも、上級生になってからの迫力不足は球場で見てきた人たちに共通する認識だ。三浦はリリーフで投げていた下級生時代のストレートで押すスタイルをもう一度見てみたい。
《指名一覧》
1位 小園 健太・投手(市和歌山高)右右
2位 徳山 壮磨・投手(早稲田大)右右
3位 粟飯原 龍之介・内野手(東京学館高)右左
4位 三浦 銀二・投手(法政大)右右
5位 深沢 鳳介・投手(専大松戸高)右右
6位 梶原 昂希・外野手(神奈川大)右左
育1位 村川 凪・外野手(四国IL・徳島)右左
育2位 東出 直也・捕手(小松大谷高)右右
育3位 大橋 武尊・外野手(BC・茨城)左左
(パ・リーグ編へ続く)