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「近隣住民からのクレームで」完成したのにスケボーパークが一度も使えず…《日本ではスケボーをやる場所がない》問題

posted2021/09/30 17:05

 
「近隣住民からのクレームで」完成したのにスケボーパークが一度も使えず…《日本ではスケボーをやる場所がない》問題<Number Web> photograph by Getty Images

東京五輪のメダルラッシュでスケボーブーム到来…しかし日本ではスケボーをやる場所がなかなかないという

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沼澤典史

沼澤典史Norifumi Numazawa

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「堀米雄斗効果でスケボー人口が急増している」という噂。取材を進めるとパーク利用者は確かに増え、スケボー用具も売れていることが分かった。一方、日本でスケボーが普及するにはまだまだ問題も多いのが実態だ(全2回の2回目/前編へ)。

 千葉市や藤沢市でスケボーパークの計画が進み、東京でも「有明アーバンスポーツパーク」の恒久施設化が検討されている。ただ、そうは言っても理解のあるケースはごく一部だ。大田区城南島へのパーク建設の立役者である冨田誠氏は嘆く。冨田氏は同区糀谷でスケボーショップ「fifty fifty Skateboard Shop」を営んでいる。

「東京都が初めて整備したスケートパークが城南島。あれは大田区でスケートボードをしているOTSCオオタスケートクルーの仲間たちと1998年に署名を始めて、完成まで7年かかりました。当時は都内で唯一の施設だったから、各地のスケーターが集まっていましたね。でも、城南島のパークにもデメリットがあって、立地としては大田区の端っこの埋立地なんですよ。そもそも僕たちは、大田区の子どもたちみんなが気軽に通えるように、もっと内陸に作ってほしいという請願を大田区議会に出していたんです。パークの設立自体は採択してくれましたが、内陸部に作るのは大田区としては難しいという判断で、結局、東京都が大田区内の都立公園の中に作るという形になりました」

「近隣住民から苦情があって…」

 内陸に作れないのはなぜなのか。冨田氏は、身をもってその困難さを体験している。

「僕の店はもともと大森駅の近くで2003年から営業していたんですが、京急電鉄さんより、高架下の活用法の一つとしてスケートパーク建設のお話を頂戴しました。僕が管理と設計を担当する形で、2020年7月に完成しました」

 冨田氏は、渋谷の宮下公園スケート場や世田谷公園スケートボード広場の設計に関わるなど、長年都内のスケートパークの建設に尽力してきた人物だ。五輪会場を設営した会社が施工したこともあり、通行人が目をみはるような、透明のアクリル張りの本格パークができあがった。

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