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「近隣住民からのクレームで」完成したのにスケボーパークが一度も使えず…《日本ではスケボーをやる場所がない》問題
text by
沼澤典史Norifumi Numazawa
photograph byGetty Images
posted2021/09/30 17:05
東京五輪のメダルラッシュでスケボーブーム到来…しかし日本ではスケボーをやる場所がなかなかないという
「競技としてのスケートボードを知らない人からすれば、夜遅くまで騒いで公園や道路など禁止されている場所で滑っている迷惑系スケーターの姿は、当然理解できないでしょう。ただ、そのようなスケーターが生まれる原因は慢性的な場所不足と指導者不足によって、最低限のルールやマナーが浸透してこなかったことにあります。本来、スケートボードには指導者がほとんどいないのですが、スケートパーク内で練習している人たちやプロスケーターはみなマジメで礼儀正しいですからね。だから、こうした問題の解消は、各地域にスケートパークを作ることが第一歩。そしてスケーターの側も、練習できる場所への敬意を持ってゴミ拾いや掃除をしたり、子どもたちの練習会で安全講習やルールを伝えたりするなどの地道な活動が必要です。それが地域の人たちの心をほぐしていくと思います」
五輪によってスポーツとしての認知を高めたスケートボード。東京五輪に出場した白井空良選手は相模原市立の小山公園で技を磨いたが、このような行政による環境づくりが若者の未来を拓く。行政と周辺住民の無理解が、世界を目指す子どもたちの可能性を潰すのは、哀しいことだ(前編から続く)。