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平野美宇が明かす団体銀の舞台裏…目指した「隙のない卓球」、代名詞の“連続攻撃”よりも重視したこととは? 

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高樹ミナ

高樹ミナMina Takagi

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photograph byTakuya Matsunaga/JMPA

posted2021/08/24 17:06

平野美宇が明かす団体銀の舞台裏…目指した「隙のない卓球」、代名詞の“連続攻撃”よりも重視したこととは?<Number Web> photograph by Takuya Matsunaga/JMPA

バックハンドを軸とした連続攻撃など派手なプレーが注目される平野だが、東京五輪では「隙のない卓球」でメダル獲得に貢献した

 第1ゲームから得意のバックハンドドライブやチキータレシーブなど攻撃的なプレーで得点を重ねた平野はこのゲームを先取すると、第2ゲームもサーブを左右長短に散らして主導権を握った。  

 しかし、良い形を作ってからチャンスボールでミスが出始め、第2ゲームは陳に奪われてしまった。

 いわゆる「攻め急ぎ」である。

「自分から攻める意識が強すぎて焦ってミスになったり、攻撃がちょっとだけ早くなって打たなくてもいい所で打ってしまったり。そういう自分のプレーの傾向はオリンピック前からビデオを見て、結構多いなと思っていました」

 そのことを平野は第3ゲームのチェンジエンドで思い出したという。ベンチにいた女子日本代表監督の馬場美香(9月末日で退任)の「もうちょっとペースを落としていい」というアドバイスがきっかけだった。

「フォア前」を徹底した平野

 ゲームカウント1オールで迎えた第3ゲーム。平野はそれまでコースを散らしていたサーブをフォア前(相手のフォア側のネット近く)に出した。

 これでポイントを奪うと、2本目のサーブもフォア前。次のレシーブは長く返球したものの、その次は再びフォア前にストップレシーブを送った。一旦、相手を前に寄せてから大きなラリーに持っていく作戦だ。

 これで7連続ポイントを挙げた平野は波に乗った。結局、第3ゲームは15本あった彼女のサーブ・レシーブのうち、実に14本がフォア前という徹底ぶりだった。見事な戦術転換だ。

【次ページ】 大きな課題だった「戦術転換」

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