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〈平成最後の甲子園ヒーロー〉18歳の吉田輝星が語っていた“農業高生のプライド”「高校球児らしいといえば高校球児らしいでしょ」 

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石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2021/08/15 11:04

〈平成最後の甲子園ヒーロー〉18歳の吉田輝星が語っていた“農業高生のプライド”「高校球児らしいといえば高校球児らしいでしょ」<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

夏の甲子園100回大会で一躍ヒーローとなった18歳吉田輝星が語っていた“隠さないプライド”とは

「亮太には『オレ、もう投げられねえよ、ここで負けるか決めるか、どっちかにしてくれ』って(笑)。そしたらバッターがヒット打って、『これ、マジで逆転あるんじゃね、お前もちゃんと続けよ』って言って送り出しました。あのときは不思議な感覚で、単純に勝てるという自信があったんです。球場の空気も自分らの応援に合わせて拍手してくれたりしていて、こういうこと、本当にあるんだ、この雰囲気だったら逆転できるかもしれないって、自然に思ってました。自分、小っちゃいときから、どれだけ大きい舞台へ急に出されても緊張しなかったんです。それが普通だと思っていたんですけど、周りからすればそれが異常なことだということに気づかされて……そういう気持ちの強さは元からありましたね」

泥臭くやるのが農業高校生のプライド

 吉田は「農業高校の実習では実習着を汚すのが、野球部の練習ではユニフォームを汚すのが得意、泥臭くやるのが農業高校生のプライド」だと言っていた。坊主頭に、潰した帽子を「投げて落ちたらカッコいい」と、頭の上に乗せるイメージでかぶる。マウンドに上がればシャキーンと侍ポーズ、勝てば照れもなく全力校歌。平成最後の夏の甲子園で旋風のど真ん中にいたのは、どこまでも泥臭い農業高校生だった。

「高校球児らしいといえば高校球児らしいでしょ。高校時代は自分らが強いということを見せたかったし、ギラギラしたかったんです。今、考えれば全員で揃えた五厘刈りもカッコよかったと思うし、今でも全力校歌、歌えますよ。そんなことを気にしない、大きい心を持っている人って、カッコいいじゃないですか」

 髪の伸びた18歳の吉田輝星は、泥臭さを隠そうともせず、そう言って笑った。

吉田輝星Kosei Yoshida

2001年1月12日、秋田県生まれ。金足農高からドラフト1位で2019年に日本ハム入団。昨夏は秋田大会から甲子園準決勝まで10試合に完投し、秋田県勢として103年ぶりの準優勝に貢献。6月12日の広島戦でプロ初登板初先発し、5回1失点で初勝利を挙げた。175cm、84kg。

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