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400mリレーで「攻めバトンに賭けるしかなかった」事情…日本の短距離はなぜ“惨敗”してしまったのか?
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byJIJI PRESS
posted2021/08/08 17:04
決勝で完走できず、肩を落とす(左から)小池祐貴、山県亮太、桐生祥秀、多田修平
桐生が2017年に出した9秒98は日本短距離勢に大きな刺激になったはずだ。「自分たちにもできる」という意識で練習やレースに取り組み、サニブラウン(9秒97)、小池(9秒98)、山縣(9秒95)と4選手が9秒台を出している。彼らに続き、10秒を切る選手が増え、層が厚くなることを期待したい。
東京五輪だけを見ると、短距離は“惨敗”だった
残念ながらバトンは繋がらなかった。100m、200mでも予選通過はならなかった。ピーキングやコンディショニングも勝負、技術の一部と考え、今大会だけを評価すると『惨敗』と言っていいだろう。
だが短距離のレベルは確実に上がっている。それはまちがいない事実だ。
パリ五輪までの3年間、個々の選手が安定感を上げること、目標の大会の日程から逆算して心身のピーキングを作る技術を得ること、海外など環境が整わない試合でも結果を出せるようにすること、そして攻める気持ちを忘れないこと。
これをクリアすれば、個人でのファイナル、そして再びのリレーはまちがいなく視界に入ってくるだろう。
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